story＊138 ページ43
重｢いや、だって…喘息持ちなのも病弱なのも、慧くんは何にも悪ないのに…何でっ…｣
自分が捨てられた事を"当然"として受け入れるだけでなく、両親の気持ちさえも理解しようとする慧くん。
それを聞いて…見て…【そんな事せんでいい】って【恨んでいい】って言おうと口を開いたけど…俺が次の言葉を発する前に慧くんが首を横に振って、それを制止した。
慧｢両親に捨てられたお陰で、宏太と大貴…それから、この村の皆にも出会えました。だから…恨みません。
…例えこの体が治る事はないとしても、かけがえのない親友に出会う機会をくれた事は感謝してます。｣
重｢っ…分かった。慧くんがそれでええって言うなら、俺はもう何も言わん。
…でも、体のことは違う。気管支喘息は放っておけば死ぬ事もあるし、また発作が起きる前に早めに病院で薬を…｣
宏｢…そんな事、無理ですよ。｣
重｢っ…宏太くん…｣
いつの間にか戻って来てたらしく、背後に立ってた宏太くん。
彼はキッパリと"無理"って言い切りながら、俺の前に温かいお茶を…慧くんの前にはホットミルクを置いて、そのまま俺の隣に腰を下ろした。
慧｢…宏太の言う通りです。僕達がカースト最下層の人間である限り、そんな事は出来ません。｣
宏｢重岡さん…僕達が何故、大貴を助けて下さった中間さんにあれ程の恩を感じると思いますか？
…それは…ここでは高熱で人が死ぬなんて、よくある事だからですよ。｣
重｢えっ…？｣
宏太くんが言い放った言葉が衝撃的で、一瞬時が止まったように無音になる。
…でも、驚いて呆然としてる俺をよそに2人は顔色一つ変えず、直ぐに宏太くんは話を再開した。
宏｢大貴は病弱で慧には持病がある。実を言うと、俺もあまり体が丈夫じゃありません。それが何を意味するか…間近な死ですよ。
俺達の暮らすこのｶﾍﾟﾗ第4地区だけでなく、他の第1〜第3地区にも、隣のﾊﾟｳﾞｫ地区にだって…"ｳｫｰﾙの外"には病院なんて無いんです。必要なのに造るお金もありません。
…ここでの平均寿命、ご存知ですか？良くて40半ばまで。60歳まで生きられれば、それは奇跡でしょう。｣
慧｢…この村でも、生まれて直ぐに亡くなった子供が今年に入って3人。去年は伝染病で大勢の仲間を失いました。
重岡さん…そんなもんなんですよ、僕達の一生なんて。｣
重｢ｯ…｣
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和音(プロフ) - 祐莉さん» いつもコメントして頂き、ありがとうございます(^^)これから益々物語が展開していきますので、是非楽しみにして頂けたら嬉しいです！これからもこの作品を宜しくお願い致します(^^) (2020年2月14日 23時) (
レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
祐莉 - 楽しく読ませてもらってます！イースト帝国の闇は深いですね！ ウエスト王国もイーストに侵略されれば同じような状況になるのは、明白だから今後ウエスト側がどう動くか気になります！ (2020年2月13日 15時) (レス) id: ea9cf53e18 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると、とても励みになります！これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2020年1月9日 18時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 更新を楽しみにしております。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - すごく面白いです。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音
| 作成日時：2019年12月28日 17時
