doll＊414 ページ24
＊黄side＊
橙｢なぁ…ジュンタくん…｣
黄｢ん…？｣
橙｢ふふ､んーん…何でもない…｣
黄｢…そか､｣
…さっきから､アキトはこんな調子｡
俺の名前を呼んでは､【何でもない】言うてちょっとだけ笑って…
また数秒経ったら､俺の名前を口にする｡
…その繰り返し｡
多分…そろそろなんやと思う｡
黄｢…っ､､｣
…俺を見つめる橙色の瞳が､段々虚ろになり始めてて…
何より…繋がれた俺の左手とアキトの右手から漏れる光が､今にも消えてしまいそうな程弱々しくて…
ローザミスティカが露出して､気力だけで意識を保ってたアキトはきっと…もう限界｡
黄｢…なぁ､アキト……お前のマスターに､何か…伝言とかあるか…？
…ほら､どうせお前の事家まで送り届けんねんから…何か言いたいことあったら俺が…｣
橙｢んーん…ない……ここに来る前…お手紙…書いてきたから…っ…まーくんに…｣
黄｢…そう､分かった｡｣
…最期まで､アキトらしい｡
【自分の気持ちは自分で伝えたい｡】
【そうしないと意味が無い｡】
…俺達が生まれたばかりの頃…そんな事を言ってた気がして､やっぱり変わってへんなぁ…なんて思いつつ､､
また､【ジュンタくん…】って呼ぶ声に応えると､今回は続きがあって…
アキトは､小さい声でゆっくりと話し始めた｡
橙｢…なんかな……眠く､なってきて…もうた…
…なんで…やろか…っ…まだ､､お昼やのにな…｣
黄｢っ！…ｯ…別に､ええやろ…昼に寝たって…ｯｯ…｣
一気にｼﾞﾜｯと涙が込み上げて…このままじゃ泣くと思って､唇を噛んで堪えながら途切れ途切れに言うと､､
また少しだけ笑顔を見せたアキトは､俺の言葉に首を横に振った｡
橙｢…眠りの時間は…夜やって……リュウセイに怒られる…｣
黄｢ｯ…んなこと言うたって…リュウセイはいつでもどこでも寝るやろ。
…っ､､､昼寝くらい…許してくれな､俺がアイツの事しばいたるわっ…｣
橙｢ふふ､厳しい…兄ちゃん…やなぁ……でも､､ありがとう…｣
黄｢ｯ…おん､｣
殆ど力の籠ってへんかった繋がれた手が､きゅっと少しだけ握られた気がして…
アキトの顔を覗き込むと､､ふらふらと彷徨って絡むことの無い視線の代わりに…
ほんのちょっと上がった口角と弱々しすぎる声が､その全てを伝えた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななみ(プロフ) - アキトおおおおおおお泣うわああああああああ(´Д⊂ヽ朝から全部読んで感動しました泣決着の予想は付いていたが読み進めると悲しい気持ちになりました泣ジュンタくん！！アキトくん大好きだよ！！ (2022年11月22日 6時) (
レス) @page29 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - ８７８さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると嬉しく、とても励みになります(^^)これからもこの作品をよろしくお願い致します(^^) (2019年4月20日 19時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
８７８ - いつも更新を楽しみにしてます！vol.9の更新がんばってください！ (2019年4月20日 19時) (レス) id: e0fce50eaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和音
| 作成日時：2019年4月20日 14時
