After that 《120話より》 ページ9
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松本さんの部屋の前で一息深呼吸するとコンコンとドアをノックした。
すると案の定中から『はーい』と松本さんの声が聞こえて来た。
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あ 「今、大丈夫ですか？」
そう呟くとガチャっと開いたドア。
潤 「ん。どうぞ」
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案外松本さんの部屋って初めて入ったかもしれない。
すごく綺麗に整頓されていて、まさに大人な男性の部屋っていう言葉が似合う。
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間髪入れず、松本さんが私に尋ねた。
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潤 「…もしかして、この前の告白の返事？」
あ 「え」
潤 「良い答えだと嬉しいなぁ」
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デスクに座った松本さんがコーヒーを口にしながらそう言った。
やっぱり、松本さんは鋭いね…私の考えてること全部分かってるんだもの。
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でも、松本さんってやっぱり
時折切なそうな瞳するんだよね…
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『良い答えだと嬉しいなぁ』その言葉を聞いて、身体が痺れる。
ごめんなさい、松本さん。
私やっぱりどうしても忘れられない人が居るの。
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あ 「ごめんなさい！」
彼の元に近付いて、深く頭を下げた。
反応が怖くて、松本さんの目を直視出来ない。
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あ 「私、どうしても忘れられない人が居るんです。 「
…一方通行でも、この気持ちは大切にしたいんだ」
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あ 「こんな中途半端な気持ちで松本さんの気持ちに応えるなんて申し訳ないし…
せっかく、私を好きで居てくれてるのにごめんなさい。でも、ありが」
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その瞬間、ギュッと抱きしめられる私。
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あ 「松本、さん…？」
潤 「謝んなよ。だって、俺がお前を好きになったんだから」
あ 「…っ」
潤 「こうしてること、今は許して」
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強くなる腕の力。
私はなんて素敵な人に想ってもらえて居たんだろう。
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松本さん、本当にありがとう。
私のことなんか好きだ、って言ってくれて。
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作者名：大宮華花
| 作者ホームページ：http://s.ameblo.jp/nino1206smile/
作成日時：2020年5月4日 20時
