Voyage.3 (ページ28)

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家まではおよそ15分。

もうあとは、家に着くまでどうにかして耐えるしかない。

後ろの席に乗り、前の座席に両腕をついてそこに頭を寄りかからせる。

目を瞑って意識的に呼吸をしているうちに

座れたこともあったのか先ほどよりは少し落ち着いた気がした。

周りの景色をちらりと見る。

あと少し。もう少しであの人たちが待っている家に帰れる。

運転手「お客さん、着きましたよ」

和「あ、ありがとうございます」

お金を払って車から降りる。

玄関までの少しの距離ですら、今はものすごく長く感じてしまう。

ガチャ。

和「ただいま…」

リビングのドアを開けてそのままトイレへ直行。

リビングにはみんながいただろうけど、そちらを見ることなく足を進めた。

カバンをドアの近くにポイっと放り投げてトイレに入る。

相当余裕がない人みたいだ。

...まぁ実際に余裕なんてないんだけど。

智 side

トイレはリビングがある一階の奥のスペースに設置されている。

ニノはトイレに駆け込んでから、なかなか戻ってこない。

心配に思ったメンバーを代表して俺が様子を見にいくことになった。

智「おいにのー。俺だよ。大丈夫かぁ？」

和「…」

返事がない。

中がどんな状況なのか分からなくて焦る。

もしかしたら、倒れてる...？

智「にの？どした？聞こえたら返事して」

バンバンとドアを叩く。

メンバーも心配そうにこちらを見ていた。

すると、

和「ん、きこえてる…」

なんともか細い声が中から微かに聞こえた。