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【episode 10】10-1 ページ1
《過去の記憶編》
和 side
過去の話を聞かれることがたまにある。
でもいつも決まって「あまり覚えていない」と返す。
それは、俺がもつ過去の記憶が辛いものばかりで、いいものばかりではなかったから。
...というのは思い込みで。
本当はいい思い出もたくさんあった。
昔は毎日のようにみんなで遊んで、家に帰るとご飯を作って待っていてくれるお母さんがいて、仕事が忙しくても帰ってくると必ずギュってしてくれるお父さんがいた。
毎日が楽しくて、嬉しくて、幸せだった。
なのに…
その幸せは長くは続かなかった。
高校に入ると今まで一緒だった潤くんとも離れ、いつも隣にいた存在がいなくなって寂しい思いをしていた頃に、追い討ちをかけるかのように、両親が亡くなった。
それからは毎日泣いて。心を塞いで。新しい環境に入ってからも友達を作ることはしなかった。
高校の３年間はただただ毎日を送るだけの日々で。
辛い、苦しいといった感情も特になかった。
そんな中、一度だけ相葉くんと会った事があった。
それは高校からの帰り道。
雅「あれ？にのちゃん...？」
なんだか聞き慣れた声がしたと思って振り向くと、そこには相葉くんがいて。
雅「にの！久しぶり！！元気だった〜！？会いたかったよ〜！」
満面の笑みで頭をガシガシと撫でてきた。
相変わらずバカ力だなぁと思うけれど、久しぶりにみるこの笑顔に安心していて。
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作者名：Kai | 作成日時：2020年7月11日 11時
