君の隣。

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「じゃあ今日は体育祭の出場種目決めまーす！」



LHRの時間、体育委員の湧ちゃんが

教卓の前に立ってそう言えば、

クラスの男子はノリノリで。



「A、なに出んの？」


「楽なやつ」


「言うと思った。運動神経いいんだからもっとやる気出せばいいのに」



昔は体育祭とか、学校行事が大好きだった。

だけど高校に入ってからはそんな気持ち、

どこかに飛んでいってしまって。

理由とかはないけど、なんか冷めたんだよね。



「小中学校の時はルンルンでやってたし」


「昔は昔、今は今だよ」



...あー、湧ちゃんと私も同じか。

昔は、湧ちゃんの隣は私の場所だった。

でも、それは昔のことなわけで。

今の湧ちゃんの隣は、佳奈ちゃんの場所だもんね。



「...嫌な言葉だな」


「え、なんか言った？」


「別に。なんにも言ってませーん」



でも、昔は昔だとしても

私が湧ちゃんのことを好きだってことは

昔も今も変わらないよ。



「桃瀬とA、何がいい？」


「私、綱引き出る！」


「え、愛未綱引き？」


「はーい、桃瀬綱引きね」



湧ちゃんはそう言うと、

綱引きのところに"ももせ"とかなり大きく書いた。

...なんであんな大きく書いてんの、バカでしょ。



「...Aは？」


「えー...じゃあ障害物競走」


「ん、了解」



借り人競走と悩んだけど、

変なお題が来たとき困るし。

"好きな人"なんてお題が来たら詰みだもん、私。



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