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Waku.



颯太の言う通りだった。

Aは、昔から噂話なんて信じない性格で。

中学の時も、理由なんて知らないけど何故か

周りから距離を置かれてる奴にAだけは

気にせず話しかけてて。

...俺は、そんなAのことがずっと好きだったのに

なんで忘れてたんだろう。

...颯太の言う通り、恋って盲目だな。

佳奈のことばっかり考えてて、Aのことは

何にも考えてなかった。

大事な幼馴染みで、大切な存在とか言ったくせに。



「...颯太」


「ん?」


「多分今頃A泣いてるからさ、行ってやって」


「...湧が行くべきなんじゃないの?」


「そうなんだけどさ、ちょっと今は無理」



なんとなく、気付いちゃったから。

...Aが佳奈のことを拒む理由。

俺、佳奈のこと好きになって付き合うようになってから

いろんなこと忘れてたんだわ。



「俺、めっちゃ最低じゃん」


「...わく?」


「お互いに両想いだって知ってたのに、自分に彼女ができたらそっちばっかになって、アイツの俺に対する気持ちすっかり忘れてた」


「...」


「なんなら、俺が佳奈と付き合った時点でAは俺のこと諦めるって勝手に思ってた。...ほんと、俺ってワガママ」



佳奈と出会うまでは、ずっとAのことが好きだった。

でも佳奈と出会って、クラスで孤立してるのに

健気にいろんなことを頑張ってる佳奈を見てたら

支えたくなって、俺が守りたいって思った。

...でも、そんなのAには関係なかったよな。

なのに俺、佳奈と付き合えたことが嬉しくて

去年の文化祭の打ち上げでAに伝えて。

...あの時、Aは"よかったね"って言ってくれたけど

本当はどんなこと思ってた?



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作者名:Tsumu. | 作成日時:2021年1月16日 21時

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