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帰る方向は、涼花ちゃんだけ反対だから
お店の前で別れて、愛未と帰ってると、
"でもさー"と突然愛未が話し始めた。
「何か理由があるはずだよね」
「佳奈ちゃん？」
「うん。昨日話した時、何か言われなかったの？」
愛未にそう言われて浮かぶのは、
湧ちゃんが佳奈ちゃんに私のことを
優しいと話していることだった。
「...湧ちゃん、私のこと優しいって話してるっぽい」
「優しい人なんてA以外にもいるじゃん」
そう、それは私も昨日の時点で思ってるし、
だから絶対別の理由があるはずなんだよね。
...なんで私にこだわるんだろう。
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「え、なんでいるの」
家に帰って、部屋に行けば湧ちゃんがいて。
彼女いるくせに何普通に幼馴染みの部屋入ってんの。
...あ、違うか。
"幼馴染み"としか思ってなくて下心なんてないから
普通に来れちゃうんだよね。
「佳奈のこと、ちゃんと頼みに来た」
「その事だけどさ、佳奈ちゃんに私が優しいって話してるの？優しい子なら別に私以外にもいるでしょ」
湧ちゃんの方なんて見ずに、
リュックを床に放り投げてそう言えば
湧ちゃんは黙ってしまって。
「そもそも、なんで二人の会話に私が出るのか意味がわからない」
湧ちゃんのことは大好きなのに、
どうしても私から出る言葉は刺々しくて。
どんどん湧ちゃんと私の間に見えない壁が
できるのが分かった。
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作者名：Tsumu. | 作成日時：2021年1月16日 21時
