#06 ページ36
工場の火災の煙が入らないように、窓は全て閉めたはずだった。しかし、2階に上がる階段には煙が充満している。2階部分に燃え移ったのだ。
音羽は急いで奥の備品室に入る。段ボールが積み上げられている上に、煙で視界が悪い。
一番奥の死角になっているところに、1人の男性が倒れていた。
「大丈夫ですか！」
反応はない。まだ息はある。とにかくここから出てすぐに酸素投与をしなければ……。担いで運ぼうとした時だった。
轟音とともに、部屋の扉に炎が燃え移った。それが段ボールにも燃え広がり、音羽とその男性はあっという間に炎に囲まれた。
この業火の中を、男性1人担いでくぐり抜けるのは無理だ。しかし、ここにいては男性の一酸化炭素中毒はさらにひどくなる。
考えている間にもじりじりと炎が迫る。
「……くそっ」
音羽は自分の酸素マスクを外すと、急いで男性にそれを着ける。これで男性の方はしばらくは大丈夫だろう。ただ……
「……ゴホッ……ゴホッ」
煙は容赦なく肺に入り込んでくる。
以前のエレベーターの事故を思い出す。
今はあの時よりも煙が濃い。炎も近い。
一酸化炭素中毒の初期症状は気分不快、判断力低下、めまい、頭痛、吐き気。進行すると意識障害、視覚異常、昏睡状態に陥る。そして、最終的には心肺機能が停止し脳死から心停止に至る。
朦朧としてきた意識の中で、知識だけが頭の中でぐるぐると繰り返された。
＊＊＊
「これで中の人は最後です」
喜多見が救急隊員とともに最後の傷病者をバックボードで運びながら、建物から出てきた。
それと入れ替わるように、レスキュー隊が中に入っていく。その中には、小日向の姿もあった。
「A先生？」
「喜多見チーフ、音羽先生が……！」
比奈が喜多見に音羽がまだ中にいることを伝える。
それを聞いて喜多見は今出てきた建物を見上げた。
2階の炎がさらに大きくなっている。
黒い煙が今にも雨が降り出してきそうな灰色の雲へ向かって昇っていた――――……
＊＊＊
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わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです（泣）初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (5月3日 16時) (
レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
滴 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか？ 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます！月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油 | 作成日時：2021年10月5日 19時
