#12 ページ14
「大丈夫ですか？わかります？MERの小日向です」
工場内に残された傷病者にタグを付けていく。その速さが彼女の経験の多さと力量を物語っていた。
「夏梅さん、骨盤骨折、ショック状態です。生食輸液全開で。サムスリングで固定して搬送します。トラネキサム酸ください」
「はい！」
その処置も、指示も、すべてが的確かつ速い。
そんな小日向を聞こえてくる声で感じながら、喜多見もまた目の前の命に向き合う。
「MERの喜多見と言います。どこが一番痛いですかー？ちょっと持ち上げますね」
工場内の傷病者は2人のドクターの指示によって次々に搬送されていった。
＊＊＊
「エコーください。……胸腔内に出血あり、左開胸で溜まった血を抜きましょう」
外では音羽も到着し、比奈と2人で運び出された患者の対応に当たっていた。
「なに！……わかった、中にいる全員に救助いったん中止、退避するよう指示しろ！」
ほとんどの搬送を終えた時、消防のテントから千住のひっ迫した声が聞こえてきた。
「どうしたんですか」
音羽が駆け寄る。
「爆発による被害で破裂したガス管から可燃性のガスが漏れ出ているのが確認された」
「中に救助者は？」
「……1人、まだ見つかっていない」
嫌な想像が頭によぎる。
工場内からレスキューや消防が次々に出てくる。その中に夏梅の姿もあった。
「夏梅さん、喜多見チーフとA先生は」
「え？一緒に出てきたと思いますけど」
しかしその姿は見当たらない。
『最後の1人発見しました！
……左肩に鉄パイプが刺さっていて動かせません！』
荒い息とともに聞こえた小日向の声に、音羽はその想像が現実になってしまったことを感じ取っていた――……
＊＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 436人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「TOKYOMER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび醤油(プロフ) - 滴さん» 貴重なご意見ありがとうございます。読みにくくて申し訳ないです( ; ; ) 1ページに入れたい内容が多くて泣く泣く行間を詰めたり文章を削ったりしていて限界なんです（泣）初小説なのでご愛嬌ということで温かい目で見ていただければと思います... (5月3日 16時) (
レス) @page8 id: 3684b727db (このIDを非表示/違反報告)
滴 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読んでいて思ったのですが。。。 行間隔をあけたほうが良いのではないんでしょうか？ 行間隔が詰まっていると読みにくいので。。。 (4月30日 23時) (レス) @page5 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - すずもりさん» 返信遅くなってすみません💦コメントありがとうございます！月島さんかっこいいですよね。もう少しで完結ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年10月31日 9時) (レス) id: bd4ab21637 (このIDを非表示/違反報告)
すずもり(プロフ) - 月島さん好きなのでありがとうございます♪(笑)更新楽しみにしてます❣️ (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 850617dc48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび醤油 | 作成日時：2021年10月5日 19時
