その声で【 YMIN短編集 】

いちにち ページ16

side YM




なんとなく最近忙しくて構ってあげれてないなぁとは思ってた。
今日だって映画の撮影と雑誌の取材が重なってスケジュールがいっぱいいっぱいで。



たくさん仕事をもらえるのはいいことだし有難いけど、流石に忙し過ぎる。
仕事を言い訳にするのは良くないかもだけど、最近伊野尾ちゃんに全然構えてない。
だから最近はメンバーとの仕事中に俺が話しかけても、可愛いほっぺを膨れさせて構ってくれない。




はぁ、と溜息をついたら俺の早く帰りたいという切実な願いが神様に伝わったのか機材トラブルで撮影は中止になった。
これなら今日は早く帰れるかも。



今日はたくさん伊野尾ちゃんに構ってあげなきゃ。
当然おれだって伊野尾ちゃん不足で死にそうなんだから。



.



「伊野尾ちゃん！ただいま！」


午後7時に仕事が終わって同棲している家に帰る。でも、『おかえり』の一言も何もなくてそっとリビングを覗いてみると伊野尾ちゃんがテレビの横の壁に何かを貼り付けていて。



「伊野尾ちゃん、？何してんの…」



よく見てみると1枚の紙が。そこに書いてあったのは『1日1ちゅー』の文字。
もっと深刻なことかと思ったのに一気に拍子抜け。
何やってんだよこの人は…



「やまだっ！これをしっかり音読してきちんと守ることを誓いなさい！」



ふんっ！と鼻を鳴らしてこちらに視線を向けながら腕組みをして。
寂しくさせ過ぎたのかなりご立腹の伊野尾ちゃん。



あー、そういえば最近は帰ってきても伊野尾ちゃんは寝ちゃってたし寝てる間にキスしてたんだよな。
だからキスもしてないって思ったのか。



伊野尾ちゃんの腕を掴んで自分の方へ引き寄せれば、伊野尾ちゃんはバランスを崩して自然と俺の方へ足が向く。
髪の毛がかけられてあらわになっている耳元へそっと唇を寄せる。



「ねえ、伊野尾ちゃん…」



“1日1ちゅーなんかで足りるの？俺は全然足りないんだけどな”



なんて囁いてそのままちゅっと子供っぽいキスをプレゼントして。
俺が満足するまで付き合ってもらおうかな。




.


出来たら今日ホワイトデーのお話を投稿したいと思います！(バレンタインの時は書かなかったくせに)

出来たらですので、作者の出来たらは期待しない方が良いかと…

White→←･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す