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「おいテイラー、お前俺より先に才人になるたぁいい度胸じゃねえかぁ！ すぐに追いついてやるから、間違っても即降格、なんてことはやめてくれよ？」
「あっはいもちろんです！ 僕なんてすぐにヴァイスさんに追いつかれちゃいそうですから、負けないように頑張ります」
力強く肩を叩かれ、へら、と力なく笑うのは、後輩である──新規採用才人。彼がしこたま飲まされ、悪酔い寸前になっていることを見兼ね、ヴァイスはそのまま会場の隅まで彼を連れていった。人ごみの壁から離れたからか、喧騒が少し遠く聞こえる。
ほい、とそのままヴァイスは水を渡した。「ありがとうございます」と受け取る彼は、昨年予備隊、並びに昇華隊の新人として入ってきた。気弱な所はあるものの、「何か」に打ち込むことに強い人間だった。
「僕のお母さんは、女手一つで僕を育ててくれたんです。けど、いま病気で、お金もなくて──こういう動機は不純だ、とも思うんですけど。でも」
彼がそうヴァイスに打ち明けたのは、入隊3ヶ月後のことだった。ヴァイスは喜んで彼を応援した。自分のことが疎かになってしまうほどに。もちろん、彼も全てにおいて手を抜かなかった。本にも子供にも母と同じ年齢の女にも、命令さえあれば手を上げた。燃やした。撃った。──殺 した。
「なーにが『負けないように』だ。もう既にお前は勝ってるだろ」
「いえ、ヴァイスさんに勝つなんて！ 僕は全然要領も良くないですし、誰かの支えになることも、相談に乗ることも出来ません。だから、ヴァイスさんとか義忠さんみたいな人達、すごく尊敬してるんです」
それはありがたいことで。
本音半分、皮肉半分で心の中で呟く。
代わりに聞くのは、自分じゃない方の人のことだ。
「まあ、分野的にもお前、よく政士の世話になってたもんな。礼には行ったのか？」
「それがまだ行けてなくて。ヴァイスさんなら義忠さんの場所知ってるかな、とか思ったんですけど……」
ああ確かに、と政士の姿が見えないことを思い出す。
「じゃあ探してきてやるよ。お前はしばらくゆっくりしてろ」
持っていたグラスを彼に押し付け、ヴァイスはくるり、と踵を返した。
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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか？？ そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……（控えろ） (2020年1月1日 0時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます！ 昇華隊の野郎共はいいですよね！！（負けじと大声） (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
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