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石畳の道って走りにくいよなぁ。
分担された区域を進みながら、ヴァイスは通信機からの報告に耳を傾ける。
入ってくるのは、保護予定が立っていた子の名に、「男女各二名」などの報告。数十分前にはターゲットの夫婦の死も伝えられた。
当たり前だ、後処理担当の、それも彼が所属する保護班では、ほとんどが探査能力持ちの者ばかり。
そして対してヴァイスは、特に便利な能力も技術も持っていない。彼が頼れるのは勘と、頭のなかに叩き込んだ地図、そして足。
「虱潰しってやつかぁ……」
交差点にぶつかる。さて、どう進むべきか。そう考えていると、ふと視界に雪が──違う。
ひと房の銀の髪を持つ少年が、通った。
「止まってくれ！」
止まらないだろうけれど。
いざという時気絶でもさせるため、頭の中では百科事典を開きつつ少年を追う。少年の背にはまだ歩けもしないような子が一人、左手には、年端も行かぬ少女の手が握られていた。
「安心しろ、殺さないし傷も付けない！」
方便でもない、場任せの言葉でもない言葉が勝手に口から出た。殺さないのはもとよりの話であったが──本心だった。彼とて、まだ17歳。任務、と割り切れない部分は心の中にまだ沢山抱えている。
ぴたり、と少年が走るのをやめた。振り返って、ヴァイスの方を見つめる。頬には、血がついていた。傷口はないようであるから、おそらく何者かのそれを浴びたのだろう。
「弟達に怪我はないはずです。──それより、『殺さないし傷つけもしない』という言葉、信じてもいいですか」
切れ味のいいナイフのような視線だった。
これまでに入ってきた情報によると、彼は目の前で両親を殺されているらしい。それをしたのは才人のはずだが、周りには昇華隊員もいたに違いない。
そんな中で浴びせかけられる第一声は、両親殺害を咎める罵声だとヴァイスは予想し、詫びの言葉も慰めの言葉もいくらでも用意していた。
にも関わらずの、この言葉であったので、思わずヴァイスは言葉を失う。
どうなんだ、と言うように少年の瞳が光る。
「──ああ、もちろん。これでも俺、顔が広いからな。どうにかしてやる」
もとより彼を傷つける最大の可能性──人質、という線は既に消えている。
問題なのはおそらく今後の生活だろう。身寄りのないマフィアの兄弟、というのはなかなか引き取り手が少ないだろうが──何とかしてみせる、という気概がヴァイスの中に生まれていた。
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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか？？ そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……（控えろ） (2020年1月1日 0時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます！ 昇華隊の野郎共はいいですよね！！（負けじと大声） (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
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