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「なんだお前。手柄を独り占めする気か?」
少しおどけるように政士は笑う。ただ、満更でもない様子にも見えた。
「ちょっとくらい譲ってくれたっていいだろ、隊長さん。あと、この近辺の輩を逮捕すりゃ主犯確保と同等の功績にはなるだろ」
「無茶ぶりだな」
はあ、とため息をつきながら政士は新たに銃に弾丸、針を装填する。
「でも、やるんだろ?」
「当たり前だ、お前もさっさと行ってこい!」
「ああ!」
ヴァイスの右足が地面を蹴ると共に、ぐにゃりと視界が歪んだ。そしてそれが正常に戻った瞬間──見えたのは、麻袋を担いだ背中。
「消えろ」という言葉が、余韻のように耳に残る。
政士の、特別な許可を得た時にしか使えない切り札。「空間を消した」のだ。
驚いたのであろう。振り返った男は目を見開く。何しろ、遠く後ろにいたはずの者が眼前にいるのだ。
ヴァイスの取り出したナイフが空を切る。皮の1枚でも剥ぎ取るつもりであったが、男に見切られ、首に一筋の赤い線を作るのみで終わった。
「一応聞いてみるぞ。投降とかするつもりねぇか? 今なら尋問は俺がしてやる。断れば、グレイ──やべぇ奴に突き出す」
「フン。うるせえぞ、政府のイヌが。オレ達と同じ凡人の分際で指図すんじゃねえ」
「まーね。確かに俺は凡人だ。お前と同じ、な。だがなぁ」
今一度大きく踏み込む。不味い、と男の方も思ったようだが、何分麻袋を抱えたままでは武器を取り出すこともままならない。腹部に刺されんとした刃を間一髪で避け──
「無能ではないんだよ、お前とは違って」
男の顔面を、ヴァイスの右手が覆う。
念には念を、とそのまま流し込む情報量は、辞書3冊分。男の目から焦点が消える──が、それはヴァイスも同じこと。脳まで茹で上がってしまいそうな熱を感じ、眩んでしまいそうになる所をどうにか耐える。
その隙に、男は最後の力を振り絞るかのように、麻袋をぽんと放り投げた。放物線を描いて、綺麗にそれは飛んでいく。

*→←飛べない鳥の回想



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紫清(プロフ) - くろせさん» いえいえ、くろせさんの素晴らしい小説があったから生まれたものなので……! こちらこそ、ありがとうございました! (9月7日 18時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます! 冥土……政士君に追い返されちゃうんじゃないですかね(迷推理) (9月7日 18時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - これは政士も張り切って待っちゃいますね。また再開した頃にはお返しに1発ぶん殴って欲しいものです(笑) 素敵な文章をありがとうございます! (9月6日 19時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - あ、いい……(尊死)冥土の土産に貴方様のお話を持って行かせていただきますね! (9月6日 19時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ▼鏡夜▼さん» 良かったです、リクありがとうございました! (8月12日 23時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫清 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月14日 23時

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