白とダイヤモンド3 ページ35
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「怪盗キッドだ!」という声が響いて、数秒後、屋上にその本人であろう人物が登って来た。
「あーあ、コイツもお目当てのビックジュエルじゃなかったなぁ。」
白い帽子に白いマント、銀のモノクル。純白の白で覆われた怪盗キッドの顔は新一くんによく似ていた。まさか、これも変装?どう見ても、高校生。こんなに若い子が、飛び回って宝石を盗んでいるというのか。
「やれやれ、帰るとすっか〜〜。」
「待ちなさい。」
私が隠れていることを知っていたのか、それとも想定内だったのか。動揺の色を一切見せない怪盗キッドはそれは優雅に振り返ったが、私を捉えた瞬間怪盗キッドの瞳は揺れた。それと同時にニヤリと口角が上がって、丁寧にお辞儀をされた。
「これはこれは、お会いできて光栄です。名探偵。」
名探偵という言葉を聞いた瞬間、身体が固まった。高校生の頃、もう7、8年も前の話になるが、私は単なるお小遣い稼ぎとして勧められた探偵業をやっていた。初めの頃はいなくなったペットを探したり、浮気調査なんかもしていたが事件現場に遭遇する良からぬ体質のせいか、最終的には殺人事件にまで呼ばれるようになっていた。
「元高校生探偵の七瀬Aさんで間違いありませんよね?」
その聞き方は確実に知っているのだ。名前こそ知られているものの、降谷さんによりメディア出演は一切禁じられていたので顔は案外広まっていない。事件現場に鉢合わせでとしたのか?そうでなければ、説明がつかない。
とりあえず、ここは動揺を隠して強気に出ることにしよう。公安たるもの、敵に弱点を見せることなどあってはならない。
「そうよ。よく知ってるのね、」
「勿論です。捕まるなら貴女に。と、そう心より決めておりました。」
捕まるなら貴女にって何!?そう考えた時にはもう遅く、怪盗キッドに腕を引かれ腰を抱き寄せられる。これじゃ、私が捕まえられているみたいじゃない。至近距離になって、顔がすぐそこまで近づいて来た。本当に新一くんに似てるな……これも変装用のマスクなのだろうか。顔のことが気になってじっと見つめてると、怪盗キッドが照れたのか、顔が赤くなった。
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蓮生 - 面白いです! (2020年5月6日 17時) (レス) id: 7a1e1b26c0 (このIDを非表示/違反報告)
カルム(プロフ) - やば…降谷さん可愛すぎる… (2019年12月2日 12時) (レス) id: a52b3e9031 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 壟薇さん» ありがとうございます。更新頑張ります!原作開始時で、24歳の設定になります。 (2019年11月20日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください!質問ですが夢主ちゃんは何歳なのでしょうか? (2019年10月28日 21時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます。自分の趣味を詰め込んだ作品でもあるので、私得と思ってもらえて嬉しいです……!更新頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年10月6日 19時