松田さんの話2 ページ25
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松田さんの悔しそうな顔を見て、何故か泣きそうだった。下を向くと涙が溢れて来てしまいそうだった。
あの日、萩原さんが亡くなった四年後、私は松田さんに手を貸した。これを「生かした」と表していいものなのか分からないけれど、私が干渉したのは事実だった。
松田さんがどんな思いで爆弾魔を追っていたのかは知らない。でも、目の前で人が亡くなるのは見ていられなくて、それも松田さんで、つい体が動いてしまったのだった。
あの時の私の決断に後悔はしていないし、生きててくれて良かったと思う。でも、松田さんはどうなんだろう。余計なお世話だったんじゃないか、なんて萩原さんのことを話す松田さんを見て時々考えたりもする。
「……松田さんには死んで欲しくないです。出来れば、私が生きている限りは生きていて欲しい。」
「アホか、死なねえよ。お前に貰った命、無駄に出来るわけねえだろうが。」
ぐしゃっと頭を雑に撫でられる。いつもなら、髪が崩れると怒るのだが今はそれがとても心地良かった。
実を言うと、心配ではあった。『警察官』という仕事上、常に死と隣合わせなのである。私がいない間に、いなくなってしまったらどうしよう。みんなが居なくなってしまったら、生きていく自信なんかどこにも無い。
私の大事な人たちは、みんな私より優秀で強くて、そんなはずないと分かっていても、この世界には絶対が存在しないってこと、この職業に就いて何度も思い知らされた。当たり前というのはあってないようなものであり、だからこそこんな風にまた会えたことを私は感謝しなければならない。
「今年は、絶対に爆弾魔を捕まえて、萩原さんの命日には一緒に御墓参りに行きましょう。」
「……Aも来てくれんの?」
「もちろんです。松田さんはヘタレですから、一生御墓参りに行かないなんてことありそうですし。」
「ばっ、ちげぇよ!俺はヘタレなんかじゃねえ!……まあ、ありがとな。萩原もきっと喜ぶわ。」
萩原さんのことを思い出したのか、松田さんは嬉しそうに笑った。よし、絶対今年中に爆弾魔を捕まえるぞ。公安という特権を駆使して、何としてでも見つけ出してやる。
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コメント欄で松田さん推しが多いことを知ったので少し掘り下げて見ました。いかがでしょうか。
粗方、話は考えてあるので、過去編も近いうちに書きたいですね。でもゼロの日常も書きたい。
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蓮生 - 面白いです! (2020年5月6日 17時) (レス) id: 7a1e1b26c0 (このIDを非表示/違反報告)
カルム(プロフ) - やば…降谷さん可愛すぎる… (2019年12月2日 12時) (レス) id: a52b3e9031 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 壟薇さん» ありがとうございます。更新頑張ります!原作開始時で、24歳の設定になります。 (2019年11月20日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください!質問ですが夢主ちゃんは何歳なのでしょうか? (2019年10月28日 21時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます。自分の趣味を詰め込んだ作品でもあるので、私得と思ってもらえて嬉しいです……!更新頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年10月6日 19時