全方位から狙われています。【名探偵コナン】

バーに行ったら黒の組織１ ページ36

・





「あーーあの、クソ上司め。仕事増やしやがって、これじゃ元職場と全然変わりない……」

先日、テロ組織を壊滅しに行く途中で見つけたお洒落なバーで愚痴を零す。
何となくお酒が飲みたい気分でここにやってきたのだが、アメリカで酔いつぶれると私の身柄が危ういのでアルコール濃度は出来るだけ低い物を頼んだ。
出てきたカクテルには果物が乗っていて結構、可愛い。

日本ではバーより、居酒屋派な私は潜入調査でパーティに行った時ぐらいしかお洒落なカクテルを飲んだことが無かったのだった。
正直、パーティではターゲットに必死だからお酒を味わうどころじゃない。
そう考えてみると、お洒落なカクテルを飲むのは人生初だ。楽しもう。

少しずつ飲むようには心がけているのだが、やはり酔いは回ってくるもので、自我は保っているものの私の口からは仕事の愚痴がぽろぽろと零れていた。
他にお客さんはいるけど、どうせ日本語は通じないし。
大丈夫だとは思う。

「アイツは限界という言葉を知らないのかぁ？「お前なら出来る」って何だよ。期待されるのは嬉しいけど私はコンピューターじゃないんだ。もっと加減を……」
「あら、ずいぶんと面白い子ね。」

……大丈夫じゃなかった！
突然、日本語で誰かに話しかけられてぎょっとして立ち上がる。
周りを見渡すとこちらを見て微笑んでいる絶世の美人がいた。

「あっ……どうも。は、はじめまして。」
「ふふっ、緊張しているの？」
「このバーに日本語を喋れる方がいるとは思っていなくて……」

FBIとか公安とかいうワードを伏せて愚痴っていた過去の自分を褒め称えたい。
日頃の癖が役に立ったと思う。
……というか、日本語が通じる人と会う確率高くない？

隣に座っている絶世の美女は、クスリと笑ってから振り返り、端の席に座っている銀髪の男性に話しかけた。

「だそうよ。……ジン、面白い子じゃない？」

「誰彼構わず話しかけるな、ベルモット。」
「あら、誰彼かまわずなんて話しかけてないわよ。私は話したい人と話しているだけ。」
「チッ……」

ジンと呼ばれた黒い服を身に纏った銀髪の男性と絶世の美女もといベルモットさんが口論を始めた。





・

バーに行ったら黒の組織２→←初仕事６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す