全方位から狙われています。【名探偵コナン】

あの日の真実２ ページ27

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「赤井さんは……敵、ですか。」
「残念だが、俺は根っからFBIの人間でな。昨年、組織から抜けている。」

「なる、ほど……。」

残念ではないです。むしろ、組織側の人間じゃなくてホッとしてます。
組織の人間じゃないと知り、腰にある拳銃に掛けていた手をそっと下ろした。
話せる範囲で何でも答えてくれると言った赤井さんはどうにも嘘を言っている様子には見えない。

それに、一つ引っかかることがあった。
赤井さんが組織の人間であれば、景光くんの殺害に手を貸したのも頷ける。
しかし、赤井さんは正真正銘のノックである。
何で、潜入調査をしている景光くんを赤井さんは見殺しにしたんだろう。
組織からの信用を勝ち取る為？
いや、それなら今も黒の組織に席を置いてあるはずだ。
赤井さんはただ、景光くんを見殺しにした訳じゃないのかもしれない。

「……昨年、一人の男が死ぬ場面に赤井さんは居合わせていたと思います。私はその事件の真相が知りたい。」
「人が死ぬ瞬間など、何十と見てきたからな。どの事件か分からない。場合によっては記憶にないかもしれないが……」
「いや、その男は赤井さんがよく知る組織の人です。たしかコードネームは」

必死に記憶も思い出す。
あの優しかった景光くんが話しているところなど、今となってはもう見れない事。
思い出すだけで、涙が溢れてきそう。
……何で、景光くんが。悪い人なら、世の中にたくさんいるのに。
そう考えても仕方がないことだった。

降谷さんは何であんなにも赤井さんを憎んでいるのか。
その事件に誤解があるのなら、私の手で解いてあげたい。

「今後、何かあるかもしれないからさ。Aだけには言っておこうと思って。俺の秘密の名前！それは……」

脳内で景光くんの声がして、もう一つの彼の名前を思い出す。
……私だけにおしえてくれた秘密の名前。

「……スコッチ。それが彼のコードネームだった。」
「ああ、スコッチか。それならよく憶えている。」

赤井さんは懐かしい人を見ているような優しい目で、何もない空間を見つめた。





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