降谷さんとの出会い18 ページ18
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理事官には、よくやったと言われたけれど、俺は自身の無力さを痛感していた。
真反対に、いつもは理事官に優しくされているAだが、今回ばかりはこっぴどく叱られていた。
アメリカには銃刀禁止法はないし、Aの今回の発砲は正当防衛なので罪には問われることもなかった。
そして、今日は足を怪我して現場に出れない分。山のようにある書類を少しでも片しておこうと、警視庁に取りに来たのだが、その廊下で、一番面倒なヤツに捕まってしまった。
「よお、降谷。……って、久しぶりに見かけたと思ったら、松葉杖かよっ!何、張り切り過ぎてやんちゃでもしたか?」
「違う。そんなんじゃない。」
警察学校の同期の松田だった。
松田は俺の不幸話が好きだ。物凄く好きだ。
話したくないのは山々だが、隠し事をすると松田は余計に面倒くさくなる。
仕方がなく、事の経緯を話すことにした。
「へえ、そんなことが。俺もAちゃんって子に会いてえな。」
「……まだ14だぞ?」
「ばっか、違えよ!降谷と同棲してるとか、気になるじゃん?」
「同棲じゃない。」
ニヤニヤした顔の松田にとことんイジられる。
ああ……これは今度飲みに行った時に景光たちにも言いふらされるやつだ。
そのあと、上司にサボっていることがバレて怒られている松田にAに会わせる約束を半ば強引に、取り付けられ、分かれた。
やっとのことで自分のデスクにたどり着き、書類を持てるだけ持って家に帰った。
すると、また予想外の出来事が起こって。
「おかえりなさい、降谷さん。」
そう言い、Aが玄関先で迎えてくれるのである。そうか。そろそろ、学校から帰ってくる時間だ。
「おかえり」なんて言葉、ここ十数年聞いていない。Aに言われたおかえりは、何だかくすぐったいような、心が温まるような感じがして、自然と頰が綻んだ。
「ただいま、A。」
「もう降谷さん、急いでください!今日は松田さんと飲みに行く約束なんですから!」
「ああ、今行く。」
あのAがこんなに明るく育つなんて。
いやでも、あのご両親のDNAを受け継いだらそうなるよな。納得がいく。
警察官はいつ死ぬかわからない危険な職業だ。それでも、俺の背中を追って付いてきてしまったAと日本は命が尽きるまで守り続けたいと思う。
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春 - 更新停止…降谷さんに残業でもさせられてるんですか?() (5月4日 15時) (レス) @page31 id: 50b2221609 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな( ?)バナナ(プロフ) - くそぅ、、次はまだないのか……更新いつまでもまってまっせ、赤井さん…|´-`)チラッ (2023年4月3日 6時) (レス) @page31 id: 0b7a4ff9a1 (このIDを非表示/違反報告)
Kaho(プロフ) - うわわわ、、これからって所で、、残念です (2022年11月27日 20時) (レス) @page31 id: 153df11488 (このIDを非表示/違反報告)
Black - 降谷さん尊い…更新してほしいです‼︎ (2022年5月27日 20時) (レス) @page31 id: 45fea12ca1 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 更新停止...😭 (2022年4月29日 17時) (レス) @page31 id: 72f8657db1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2019年12月1日 21時