３ ページ3
・
「ひゃっ……！？」
「軽い診察済ませたら、今日はもう帰ってええって。……何、その反応。俺が怖いんか？そそるんやけど。」
「別に怖くなんてな、」
睨みつけながらそう言い返せば、手をぐっと引かれた。一瞬で、鼻と鼻がぶつかりそうな距離。今度は何。
「……やっぱ、メチャクチャ可愛ええわぁ。俺の目に狂いは無かったようやな。」
獲物を見据えるかのように、宮侑の瞳が私を映す。体が硬直した。それと同時に確信する。私を刺したのは宮侑で間違いなかった。
逃げ出さなくて大丈夫なのか。宮侑は私を殺さないと言ったが、半殺し状態にされる事だって全然あり得るのだ。殺さないと言われたからって、安全なわけではない。
「ほな、行こか。腹減ったわ。」
お腹を押さえながら、空腹をアピールする宮侑は殺人鬼と言えど、至って普通そうな人間に見える。逃げ出したところで、地の果てまで追いかけ回されそうな気もする。とりあえず、宮侑の気が済むまで。そう思い、宮侑に腕を引かれるがまま病室を後にした。
診察を済ませた後、病院を出て、警察署へ行ってから帰路に着いた。
病院で目が覚めたのは意識不明だったからではなく、睡眠薬を嗅がされていたから。腹の傷は感じていた痛みより、ずっと浅いのものであった。
警察には既に宮侑が通報していたようで、事情聴取の際に「この人に刺されました」と言ってやろうかと思ったが、宮侑に子犬みたいな瞳で「言わないで！」とめちゃくちゃお願いされた。病院での宮侑の態度を見る限り何だか可哀想な気もして、真実を話すことはできなかった。
宮侑の指示通りに動けば、解放されると思っていたのに、宮侑は一向に私の元から離れようとしない。家に向かう私の後ろをずっと付いてくる。上機嫌に鼻歌を歌いながら。
「付いてこないでください。」
「Aちゃんが他の奴に刺されんようにせんと……」
「そんなことするの宮侑だけだってば。」
「つれへんなぁ。」
とか言いながら、今にも抱きついてきそうな距離にまで近付いてくるのである。近い。確実に超の付くイケメンである彼は、ただでさえ人からの注目を浴びている。常に人の目に触れているという事は、無暗に酷いことは言えない。
だって絶対、私の方が悪者扱いされるから。もう家はバレているので、家の前まで宮侑とは出来るだけ距離を取って帰ることにした。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水彩campus - めちゃくちゃ良い作品です！！！侑かっこよすぎ……(ニヤニヤ)更新頑張って下さい！！待ってます(*^^*) (2020年11月29日 3時) (
レス) id: d614036431 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - チャイさん» チャイさんありがとうございます。色気ムンムンの宮侑目指して今後も頑張ります……！ (2018年11月26日 22時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 色気に溢れた作品ですね……最高です (2018年11月25日 14時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - manaさん» manaさんありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです！更新がんばりたいと思います……！！ (2018年11月17日 17時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
mana - とってもいい作品ですね！これからも応援してます！！！！！！！！！！ (2018年11月16日 20時) (レス) id: a616d0f8f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ninoma_e
作成日時：2018年11月10日 17時
