愛してナンが悪い！？ ページ21
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村「よお」
『いや、え？』
告白された翌日。連絡もなしに、信ちゃんがピンポンを鳴らした。
とりあえずロックを解除するも、動揺が止まらない。
玄関で鍵を開けると、ワインを片手に昨日と同じくかっちりめの服をした信ちゃんが立っていた。
村「なんやその顔(笑) 」
『痛っ、』
デコピンされて、さらに私の精神はぐちゃぐちゃになる。
昨日のアレは、幻だったのだろうか。信ちゃんが来るって連絡してきたのは、今日だっけ。
村「翠〜」
嬉しそうに信ちゃんの足に擦りつく翠。
いや、幻じゃないはず。私は確かにこの光景を、昨日も見た。
『し……っ、信ちゃん』
村「ん？」
『何しに来たん』
村「何って……LINEしたやろ？」
『えっ』
慌ててスマホを見ると、確かに信ちゃんからのメッセージが昼すぎに届いていた。
村「既読ついてたからオッケーってことかと思って来てもうたわ」
『あー、寝起きで適当に開いたんかも』
ごめんと謝ると、信ちゃんは少しだけ目を丸くした。
村「あんな時間まで寝とったんか」
『うん。翠に生活リズム合わせてるからめっちゃ昼寝してんねん』
村「よう寝てるんやな。道理でめちゃくちゃ肌ツヤツヤやん」
『ああ、うん。どうも』
何となく意識してしまって素っ気ない返事をしてしまう。
信ちゃんはそんな私に何も言うことなく、スタスタと冷蔵庫の方に向かった。
村「ちょっとだけ冷やそか。ええとこのやから美味いと思うで」
『あっ、うん。勝手に開けて』
村「あいあい。お前、メシは？」
『食べた。カツ丼』
村「うわ、美味そやな」
『もう一人分くらいならあんで。食べる？』
村「ええんか？」
キラキラした目をされるもんだから、思わず笑ってしまった。
『ワインはまた来た時にしよか。ワインセラー入れとくわ』
村「また来ること前提やねんな」
『あっ……いや、持って帰ってくれてもええけど』
慌てる私に対し、信ちゃんは落ち着いていた。
村「置いとく。明日は何してんの」
『明日も今日と一緒。ゴロゴロしてから曲作れたら曲作る』
村「そうか」
キッチンで玉ねぎを切り始める信ちゃんの隣で、カツの準備を始める。
暫くして、信ちゃんはふと口を開いた。
村「明日も来てええか？」
『ええけど…どしたん？』
私の言葉に、彼は顔を上げた。
村「どうしたもなにも。普通に口説くチャンス増やしてるんやがな」
『くどっ……』
驚いて手を止めた私の足元で、翠がニャアと鳴いた。
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作者名：藻くずちゃん | 作成日時：2022年9月28日 16時
