若造騎士と現人神�� ページ48
「お帰りなさいませ。兄様。御身のお帰りを心よりお待ちしておりました。」
「出迎えご苦労。我が…弟よ。息災であったか。」
「はい。頂いた加護により病にも臥せず素晴らしき日々を過ごしております。」
「それは良い事だ。次代の王となるべく日々勉学に励むのだぞ。」
結局一度も民衆の前に顔を出さなかったギルバート殿下は王城で馬車を降り、カイネの迎えに応対する。
堅苦しい挨拶をする二人は兄弟と言うより主神と信者だ。
弟と呼ぶ前の不自然な間も途轍もなく気になる。
しかし如何に戦神の子でも実際の現人神の前では劣悪な人間だ。
無礼な態度はおろか一片のミスも許されない。
「我は少しばかり部屋にこもる。案内を。」
「かしこまりました。アルマ、あとはお願いね。兄様、では後程。晩餐会で。」
カイネに頑張れ、と小声で応援され軽く腕をたたかれた。
そのまま王城の奥へ向かっていたがあの先は王の執務室だ。
陛下にご報告に上がるのだろう。
ギルバート殿下は直接陛下に帰還の挨拶はしない。
実際現人神は国王や女神よりも偉いのだからむしろ陛下から出向くのが道理なのだ。
無論、他国に対応するときはそこまで顕著ではないがなるべく対等に接してアピールをしているとか。
ギルバート殿下に宿る神が寛容だからこそ許される行為ともいう。
「こちらです。ギルバート殿下。」
「ギルでよい。」
「っ…ギル殿下…でしょうか。」
「とはいっても敬称は略せぬか。ギル様と呼ぶがいい。」
俺にとってギルという名前で思い浮かぶ人物はあの酒場の店主、ギルさんだ。
確かに近しい名前であるし愛称としても妥当なものだ。
けれどやはり、想い人の名を他の人に呼びたくはない。
「…失礼ながらギルバート…様とお呼びしても？」
「ギル、という呼び名は嫌か。…ほぉ！ではギルバート・クロウリーの縁者か！良い！良い！奴にも弟以外の友ができたのか！実に良いことだ！うむ！今晩は祝杯じゃ！祝い酒じゃ！」
「え…！？はえ！？ギルバート・クロウリー？」
確かギルさんの住むダウンタウンの地域を統べる長だ。
その名前がなぜそこで出てくるのか。
あれ？殿下の名前ってギルバート・コーネリアス・アーサー・クロウリー…だよな。
地域の長の名前はギルバート・クロウリー…。
そしてその地域に住むギルさん。
あれ？みんな愛称はギルじゃないか？
なんだこれは。偶然なのか？
混乱した俺にギルバート殿下はとても不思議そうに首を傾げた。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
