若造騎士と酒場の店主は待ち合わせ�� ページ32
約束の場所に三十分早く着いた俺はソワソワとギルさんがやってくるのを待っている。
お互い迷子にならないように、待ち合わせはダウンタウン入り口のエレベーター前にした。
ギルさんは外の光が苦手なようだから屋内を中心に回る予定だ。
ダウンタウンにはなく、アップタウンにあるものも多い。
中心街から外れてしまうけれど輸入品店が多く立ち並ぶ商業区域もある。
業務用のお酒を見繕うならギルさんは立ち入ったことがあるだろうし、荷物持ちぐらいならできる。
ああ、早く来ないかな…と己の身だしなみを改めて確認しながら待っていたら厳重に閉ざされた重苦しいシャッターが開く音が聞こえた。
何度か電子音を響き渡らせてギルさんが顔を出した。
「よっ。待たせたなァ。」
「こんにちは。ギルさん。今日も素敵です。」
やはり予想した通り普段着。
けれど耳たぶに俺とおそろいのイヤリングをきちんとつけてきてくれている。
それだけで舞い上がりそうな気分だ。
いつも無造作になでつけられているはずの黒髪もサラサラに梳かされて。
首元に光る銀色の…え？
「ギ、ギルさんそのネックレスは…？」
「あ？ちっせぇころから持ってるモンだけド。なんかまずかったカ？」
ギルさんが身に着けているネックレスはおそらく銀で出来たものだ。
余計な装飾が無い事から「最上位の方」だけがつけることを許される部類の。
母上にいつか見せてもらったものでさえここまで洗礼されてはいなかった。
あの聖女と謳われた母上でも身に着けることを許されなかったものをなぜギルさんが…？
「それはその…言いにくいのですが…誰からもらったものかお聞きしても？」
「俺の母親だと思ったケド、あんまし覚えてないなァ。」
「アップタウンではあまり見せない方がいいかもしれないです。教会に祭り上げられたら目も当てられないです。本当にマジで。」
小さいころから持っていたとギルさんが言うからには本当なのだろう。
教会とは一種の宗教で我が国の大半が信仰している巨大な宗教派閥だ。
「女神」と呼ばれる今の王妃様を最上位とし、「古き民」と呼ばれる血筋の人たちで大部分が構成されている。
ギルさんが身に着けているネックレスは教会の「古き民」が身に着けるネックレスと同じ紋様だ。
銀で出来ているのならばその中でも上位。
装飾の少なさからさらに上位。
俺なんか直視したら牢屋にぽいされるぐらい偉い人レベルだ。
ちょっとそれはまじめに怖い。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
