地上に出る酒場の店主�� ページ24
木陰の下で二人だけの一時を過ごす。
騎士達は少し離れたところで思い思いに休息をとっていてこちらを気にする者はいない。
ちょっかいを出してきそうなロゼも自粛しているのか全く気配を感じなかった。
「騎士団の…俺の職場はいつもこんな感じで過ごしてて、鍛錬の様子なんて面白くもないでしょう？」
「いや、そんなことねぇよ。"戦うこと"と"守ること"の違いを改めて実感したワ。」
ダウンタウンの場合、戦うというより喧嘩だ。
地域のルールによって喧嘩の度合いも変わってくる。
「烏合の衆」がある地域は大怪我をさせなければ喧嘩は容認されているし。
他所では喧嘩そのものがダメな地域もある。
だからといって自分の地域のルール適応などなく郷に入っては郷に従え。
結局喧嘩が横行する無法地帯だ。
「ダウンタウンでは喧嘩が多いって聞きました。武器とかは？」
「ダウンタウン全体で武器ってのは卑怯者が持つモノって言う風習があるんダ。喧嘩は基本拳。」
昔はメリケンサックとか金属バットなど殺傷能力の高い割に近距離な武器が多かった。
しかし、武器があるとどうしても死人が出てしまう。
人がもともと少ないダウンタウンでこれ以上人が減るのもまずいし秩序も乱れる。
困った地域のトップ達はお互いに協定を結び、いくつものルールを設けた。
それが今のダウンタウン流、掟制度だ。
「じゃあ、ギルさんは剣を持ったことはないんですね。」
「…いや。ある。」
「え？でも武器は持たないんじゃ？」
アルマの疑問には答えず、そばに置いてあった訓練用の剣を手に取る。
この国では両刃の剣を主に使用するので訓練も両刃のものを模した木製だ。
その剣を両手で構えて何度か振る。
もうずっと昔に扱っていた剣とは違う。
それでも体は覚えているもので、風を切る甲高い音と共にピタリと止まる体。
筋トレだけは怠らない俺でもそれなりに扱えそうだ。
「…その動きは一昼夜で身につくものではありません。」
「ああ。まあ何年かな。先生がいて習ってた。やめちまってずいぶん経つ。」
始めたくて始めたわけでもやめたくてやめたわけでもない。
唐突に始まって終わったものだ。
今なお覚えているだけで奇跡だろう。
「そう、ですか。」
アルマはそれ以上何も聞いてこなかった。
お互いに過去も家族も生まれも、多くは語らない。
知らない方が、気づかない方が幸せなこともある。
ただ臆病なだけの理由。
二人の間を静寂が支配した。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
