地上に出る酒場の店主�� ページ23
陽の光とやらを浴びるのは買いだしの一時間ばかりでこんなにも長い間浴びる経験は幼い頃以来かもしれない。
太陽の下でキラキラ輝くあの金髪がうらやましい。
青空と同じ澄み渡るような碧眼が涼しげだ。
俺の黒は故郷への哀悼でしかない、悲しいものだから。
「一！二！三！四ッ！腕が下がっているぞ！構えなおせ！」
昼食を済ませた午後一時頃。
少し大きな木の下、日陰の中で訓練に勤しむ騎士達を遠目で見守っていた。
頭の上からアルマから借りたタオルをかぶっていても、木陰にいても外にいるだけでだるい。
自然の光そのものがダウンタウンの連中にとって天敵なのかもしれない。
最初のうちは知らない人がいる、なんてこちらをチラチラ見ていた。
けれど訓練が進めばついていくのにやっととばかりに全く気にしなくなった。
鍛錬のたの字も語れないど素人代表の俺が言うのもアレかもしれないがアルマは鬼教官だと思う。
自己満足の強さはダウンタウンでたくさん学んだ。
喧嘩さえできればそれでいいあの街で人を守る強さなどお目にかかれないだろう。
外に出て初めて目にした騎士団の訓練は日々積み重ねることで誰かを守る鋼を手に入れる。
そのために行われる鍛錬だ。
なるほど。どおりで騎士が厄介なわけだ。
護る強さも覚悟も誇りもないゴロツキ共が負けるのも道理というものである。
「三十分休憩！」
休憩が言い渡された騎士達が一斉に倒れ込んだ。
この隊は騎士団の中でも相当強いだろうな。
その隊を率いる隊長様が…。
「ギルさん。お体は大丈夫ですか？飲物をお持ちしましょうか？」
俺に対してだけ忠犬ワンコでさえなければなぁ。
「まだ元気な方だァ。飲物もあるぜェ。」
「辛かったらいつでも言ってくださいね。」
向こう側で屍と化している連中と同じ訓練をしたはずのアルマが汗一つかかず爽やかな笑顔を浮かべる。
アップタウンの情報の中にヴィクトリア家当主、アルマの父親とヴィクトリア家一人息子、つまりアルマの二人は騎士の中でも要注意だと聞かされていた。
地位に関しても実力に関しても要注意だと聞かされた時、まさかこのワンコが！と小ばかにしたものだ。
訓練風景を見て納得した。
ありゃぁ人間じゃねぇ。
常人がどれだけ鍛えてもへばるような訓練を息一つ乱さずこなすなんて不可能だ。
「アルマ、お前強かったんだなァ。」
「そんなまさか！父上の足元にも及びませんよ！」
逆に父上とやらが気になるわ。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
