酒場の店主は落とせない ページ2
多くの人が仕事上がりの楽しみを嗜んでいる真っ最中であろう午後八時過ぎ。
この街に蔓延る悪という悪を詰め込み、煮詰めて、スポンジケーキにでもしたような街ダウンタウン。
その街の一角で毎晩馬鹿騒ぎをして繁盛している少し有名な酒場がある。
酒場の名は「烏合の衆」とずいぶん滑稽な名前。
店主であるギルが一人で切り盛りするこじんまりとした酒場は今日も今日とて騒がしい。
その騒ぎの中に入ろうと店の扉を開こうとする俺はもはやお決まりとなった一言と共に入店するのだ。
「ギルさん!今日も好きです!付き合ってください!!」
「ビールと塩ゆでの枝豆のご注文承りましたァ。」
「聞こえないふりするギルさんも素敵です!黒ビールがうれしいです!」
開け放たれた扉と共に放たれた俺の愛の告白を華麗にスルーしたギルさんが勝手に注文をとってかってにいつもの席に置いていく。
日常となったこの唐突な告白を聞いても酒場で飲んでいた飲兵衛共は気にしない。
むしろ野次でも飛ばしてやれと「今日もスルーされてやんのー!」なんてゲラゲラ笑う。
めげない諦めない屈しないの三拍子がそろった俺はそんな言葉に落ち込んだりしない。
だっていつもの席と勝手に決まっていたカウンター席には塩ゆでの枝豆と一緒に黒ビールが出されている。
恥ずかしがり屋のギルさんは意図してスルーしているだけなのだ。
聞こえているけれど、どうせいつものことだと軽く流しているだけなのだ。
決して完全に聞いていないわけではない証拠に黒ビールが…。
あれ?そっちの方が傷つくのでは??
ダメだ。俺。めげちゃいけない。
騎士の名に懸けて泣いたりしない。
ギルさんはこの国では珍しい黒髪黒目の艶やかな人だ。
それはもう視界に入っただけで好きッ!!と叫びだしたいぐらいかわいらしい。
同僚に「恋は盲目だなぁ。」なんて可哀想なもの見る目で見られたが誰が何と言おうとギルさんはかわいいのである。
俺よりちょっと小さい身長とかどこにでもいる平凡そうな顔とか。
ニヤリなんて効果音が似合うあくどい笑みなんてドストライクすぎて見ただけで失神しそうである。
はーっ!ギルさん好きッ!と心の中で賛美しつつ枝豆をちびちび食べていると不思議なものを手に持ったギルさんがそばまで来る。
皿の上にイカと思われる物体。
ダークマターがぶっかけられていた。
「そういやゲテモノの試作してみたんだけど味見するゥ?」
頑張れ俺!
これも愛の試練!
若造騎士には落とされない→← メモの様な設定(イラスト有り)
75人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます!早めの更新を心掛けて頑張ります! (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます!とっても励みになります…! (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……!作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です!続きめっちゃ気になります!更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:午睡 | 作成日時:2019年2月18日 19時