思い出 ページ14
「ねえ、おにーちゃん」
「うん？」
「おにーちゃんは、お外に出たことある？」
フミコの小さな頭を撫でて、私は首を横に振る。
「そうなんだ。わたしもないの」
「外には鬼がいるんでしょ？」
私は少し笑った。
そんなのはおとぎ話だよ、と言おうとして、硬直する。
どうして、おとぎ話だとわかる？
私と、この二人は、何が違う？
誰かに、聞いたのだろうか。
何かで、読んだのだろうか。
いや、違う。
「……にぎやかで、時々香ばしいような匂いがして、足を踏み出せば、心地よい石畳のかたさがある」
手に持った荷物は重いけれど、私はそれが幸せで、横にいる■■を引っ張って……
「へえ、いいなあ。行ってみたいなぁ」
私ははっと我に返る。
「おにーちゃん、どうしてそんなに詳しいの？」
「……もしかしたら、一年以上前に行ったのかな」
「そっかー。じゃあぼくたちも行けるのかな？」
「……無理だ」
二人は一瞬呆然としてから、悲しそうに顔を歪ませる。
「なんで、そんなこというの」
なんで、こんなこと言ったんだろう。
「……ごめん」
「……もう、許してあげないから」
二人は、ぱっと立ち上がってどこかへ走って行ってしまった。
「……待って、」
私は取り残された。
「……まって、くれよ」
温かい手。
タマネギの甘い匂い。
肌寒い夜。
■■の優しい声。
■■■■の前で食べた■■■。
■■■■は、泣いている。
■■は、唇を、噛みしめている。
■■の音。
途切れた。
「……どうした。何を泣いているんだ」
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Niko(プロフ) - 続きがある......！まさかまた続きが読めると思わなくて驚きと感動で胸がいっぱいです......！ (7月24日 1時) (
レス) @page34 id: e6a8d0ae57 (このIDを非表示/違反報告)
チップ - すごく楽しみです！更新待ってます^_^ (2021年12月12日 22時) (レス) id: d533d9fa91 (このIDを非表示/違反報告)
Natsuki(プロフ) - ドキドキする展開です！続きが気になります^ ^ (2019年1月25日 1時) (レス) id: 2709160c1d (このIDを非表示/違反報告)
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