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side沖田
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「パスパスー!」
「おめ、そっちじゃねぇよ!」
女子って、髪型で結構印象が変わると思う。
普段下ろしてるやつが結んだり、
普段結んでるやつが下ろしたり。
サッカーの授業の試合中、
正直、試合をしてないチームのやつらは、男子の試合なんて見ちゃいない。
チラチラ、女子の野球ばっかり見てやがる。
体育の授業は、普段髪を下ろしてるやつも結ばねェと、とっつぁんに一応注意されるから結んでる、らしい。
「俺、ポニーテール好きなんだよね。」
「んだよいきなり気持ち悪ぃ。」
前に座ってた、さっきとは違うモブ達が話し出した。
「ほら、坂田さんとかさ、結構雰囲気変わるじゃん、
ああいうのギャップ萌えっていうの?よくない?」
「あー、けど坂田さん推しってやつ、結構多いらしいよ。
沖田と付き合ってるって噂だし。」
……もしもーし、俺ここにいますけどー。
「いや、それ違うんだとさ。
さっき着替える時話してんの聞こえた。」
「え、まじ?てか盗み聞きしてんじゃねェよ!」
「いや、あんな大声で話してたら聞こえるってば!
なんか坂田さんのこと好きな奴がいるっぽくてさ。」
「ふーん、まぁわかるけどなー。
たまに目死んでるけど。顔は可愛いし。」
「あー、死んだ魚みたいな。」
「そうそう。」
早速バレてんじゃねェかィ。
モブ男、声でかすぎでィ。
どいつもこいつも、さっきからAの話ばっかりしやがって。
あ、でも俺神楽ちゃんも結構好きー、とかいうあいつらから、
Aに意識を戻す。
チャイナがかっ飛ばしたボールを、
犬みてェに追いかけて、楽しそうに投げる。
ポニーテールが揺れる。
はァいじゃァ交代してェ、と言うとっつぁんの声で、
全体的に女子たちがぐるっと回り、
Aは「やったー!バッターだ!」とかはしゃいで打席に立つ。
あれ、あいつさっきもバッターしてなかったっけ。
「Aー、アンタ順番一個飛ばしてる!」
ほら、言わんこっちゃねェ。
どんだけバッターしたいんでィ。こいつァ。
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「なー、今何対何ー?」
「あ、やべ、忘れてた。」
「おい審判ちゃんとやれよー、
誰か見てなかったー?」
試合中のチームのやつが、汗をぬぐいながら聞いても、誰も答えない。
お前らちゃんと仕事しろーィ。
「お前ら何見てんだよー、
ちゃんと仕事しろよな。」
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……俺、何見てたっけ。
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作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時