検索窓
今日:10 hit、昨日:11 hit、合計:15,778 hit

噛み癖【糸師凛】 ページ2

私の手首を掴んだ彼を見ると、眉間に皺を寄せている。

「それやめろ。手荒れんだろ」


ああ、また完全に無意識だった。

私は軽く口を開けて、自分の指に視線を移した。

私は指先を噛む癖がある。
ストレスがあるときには特にやってしまい、血の味で始めて気がつくこともある。

みっともないから辞めなきゃと思いつつ、皮膚に歯が食い込む感触が気持ちよくて。
一向に治らないからもはや諦めている。

彼は噛み跡と唾液がついた私の指を冷たい表情で見つめている。
恥ずかしさと、咎められるのが嫌でその手を振り払った。

「跡になってんじゃねぇか」

私の体なんだしほっといてほしい。
彼の視線が痛くて、いや、目障りで、黙らせるために挑発的に言った。


「なら凛が代わりに噛ませてくれる?」


彼が思っていたよりも怪訝そうな顔をするから、「冗談だよ」と笑ってみせた。

しかし、彼は何も言わない。いつもなら「馬鹿も休み休み言え」とか罵倒してくるのに。
不思議に思い、彼の顔を覗き込む。

「‥凛?」

「噛めよ」


唇の前に差し出された指。

冗談に見えな圧に少し身震いした。

おそるおそる彼の人差し指を口に含む。
私のよりも長くて分厚い指。
それにゆっくり歯が沈んでいく感触。

興奮と背徳感のような感情が混じって、心臓がバクバクしてる。

もう少し、力を入れても大丈夫だろうか。

クッと噛む力を強くして、手持ち無沙汰の舌が彼の冷たい指に触れる。

「‥‥っつ」

「あっ、ごめん。つい」

彼の少し痛そうな声で我に帰った。

口を離すと、彼の人差し指には私と同じように噛み跡がついていた。

申し訳なくなって、唾液が付いてしまった指を、ハンカチなんか持ってないから自分のシャツで拭う。


「癖になったらどうすんの、凛の指噛むの」

気不味くならないようにできるだけ軽い口調で言ったが、彼は真剣な目で私を捉えて離さない。

「なればいいじゃねぇか。そしたらお前は俺から離れねぇだろ」


なに、それ。

付いた噛み跡が、お揃いの指輪みたいに残っていた。

合鍵【潔世一】→←抱き枕【千切豹馬】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
180人がお気に入り
設定タグ:ブルーロック , 雨海
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Lynn - 雨海さん» Lynnです。今日も久々にこの短編集を見てます。内容的に最高すぎました!また更新されたら感想書きますんでそちらからもよろしくお願いします (3月10日 5時) (レス) @page27 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - 雨海さん» 久々ですが、Lynnです。作者さんに嬉しすぎって書いてもらってまで…。大好きなのは自分もです。なのでこれからもよろしくお願いします。また、新しくこの前頼んだリクのストーリー(絵心くんの)書けたら感想書きます (1月30日 19時) (レス) @page27 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
雨海(プロフ) - Lynnさん» 承知しましたー!え、嬉しすぎる(〃ω〃)これからもどうぞよろしくお願いします〜♪ (1月18日 7時) (レス) id: d5df2c0ba3 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - 雨海さん» そちらからもそう書いてくれてありがとうございます。これからもそんな感じで絵心くんと夢主(自分)2人の喧嘩一つない甘すぎるストーリーをお願いします。(設定はお互い名前呼び、夢主は 〇〇よ。とかの口調で)。後…作者さんの事も大好きです (1月17日 21時) (レス) id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
雨海(プロフ) - Lynnさん» よかったぁ!満足いただけてよかったです〜(*^_^*) (1月17日 21時) (レス) id: d5df2c0ba3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雨海 | 作成日時:2023年3月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。