第4話 ページ5
「見てみたい…」
私がボソッと呟いた言葉に、大地さんが嬉しそうに微笑んだ。
「ま、今のあの2人じゃあ到底無理だろうけどな」
「それもそうですね。
……あ、大地さん。明日も朝練って7時からで合ってますよね?」
「ん?そうだけど…急にどうした?」
「いえ、明日は久しぶりに朝練顔出そうかなと思ったので、確認しとこうかと」
「おー!そうか!ありがたいな!」
チラ、と窓の外に目をやると「明日、朝5時な」「遅刻すんなよ!」という会話が聞こえてくる。
帰ろうとしている田中の首元を掴み、グイッと耳元に顔を寄せた。
「ぬぉっ!?おまっ、近っ…!!」
「明日朝5時ね」
「え、は?5時?朝練は7時って…」
「ばーか。私らじゃなくって」
視線から察したのか田中は「なるほどな?」と、口元をニヤリと歪ませた。
◇
「はーーーっ、寒い!」
「やっぱキッツイな〜、5時は」
あくびをしながら田中と体育館へ向かうと、鍵が開かず入り口の前でまた喧嘩をしている2人を見つけた。
「え!?田中さんと、Aさん!?」
「ふっふっ」
田中がドヤ顔で体育館の鍵を取り出す。
「7時前には切り上げろよ?」
「た、田中さあああん!」
「あざス!!」
「わはは!なんていい先輩なんだ俺!田中『先輩』と呼べ!」
「アホくさ…」
先輩という響きが随分と気に入ったらしい田中は、1年生相手にふんぞりかえっている。
ジト目でそれを眺めていると、飛雄が近づいてきて頭を下げてきた。
「Aさんも、あざス。朝早くから」
「ううん〜。私、一生懸命頑張ってる馬鹿好きだからさ」
「お、俺は馬鹿じゃないです…」
「はは、バレー馬鹿だし馬鹿なんじゃない?」
「いや、俺は…!」
「ほら早くいくよ〜」と若干不服そうな飛雄の背中を押し、体育館へと誘導した。
◇
「前!」
「ボェーーーッ!」
翔陽が前に落ちたボールを拾いに行こうと、顔面からスライディングをする。
この1時間の間で何回目だろう。私だったら顔無くなっちゃう…。
また飛雄と翔陽がガミガミと喧嘩を始めた。
…これも何回目だか。
しっかし、翔陽にはレシーブ力がない。
このままだと、試合形式になるのかすら怪しい。
「おいオマエら!…1つ言っておく。
…大地さんは普段優しいけど、怒ると怖い。
すごく怖い、すごくだ」
「?知ってます」
「この早朝練がバレたらヤバい。俺とAがヤバい」
「私は普段の信頼があるから田中に巻き込まれましたって言うし、問題ない」
「おまっ…まあ、とにかく、この早朝練を知っているのは俺ら4人だけだからくれぐれも…」
ガララッ
「おー!やっぱ早朝練かあ!」

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にば(プロフ) - みらい@マサイさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉…!できるだけ早く更新できるように頑張りますね^_^ (12月7日 15時) (レス) id: 9ed8e31803 (このIDを非表示/違反報告)
みらい@マサイ(プロフ) - 控えめに言って最高過ぎる。なんだこの作品…ッ。大好きです!更新楽しみにしてます!! (12月7日 12時) (レス) @page8 id: 98691296bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にば | 作成日時:2024年11月23日 3時