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第4話 ページ5

「見てみたい…」

私がボソッと呟いた言葉に、大地さんが嬉しそうに微笑んだ。

「ま、今のあの2人じゃあ到底無理だろうけどな」
「それもそうですね。
 ……あ、大地さん。明日も朝練って7時からで合ってますよね?」
「ん?そうだけど…急にどうした?」
「いえ、明日は久しぶりに朝練顔出そうかなと思ったので、確認しとこうかと」
「おー!そうか!ありがたいな!」

チラ、と窓の外に目をやると「明日、朝5時な」「遅刻すんなよ!」という会話が聞こえてくる。

帰ろうとしている田中の首元を掴み、グイッと耳元に顔を寄せた。

「ぬぉっ!?おまっ、近っ…!!」
「明日朝5時ね」
「え、は?5時?朝練は7時って…」
「ばーか。私らじゃなくって」

視線から察したのか田中は「なるほどな?」と、口元をニヤリと歪ませた。







「はーーーっ、寒い!」
「やっぱキッツイな〜、5時は」

あくびをしながら田中と体育館へ向かうと、鍵が開かず入り口の前でまた喧嘩をしている2人を見つけた。

「え!?田中さんと、Aさん!?」
「ふっふっ」

田中がドヤ顔で体育館の鍵を取り出す。

「7時前には切り上げろよ?」
「た、田中さあああん!」
「あざス!!」
「わはは!なんていい先輩なんだ俺!田中『先輩』と呼べ!」
「アホくさ…」

先輩という響きが随分と気に入ったらしい田中は、1年生相手にふんぞりかえっている。

ジト目でそれを眺めていると、飛雄が近づいてきて頭を下げてきた。

「Aさんも、あざス。朝早くから」
「ううん〜。私、一生懸命頑張ってる馬鹿好きだからさ」
「お、俺は馬鹿じゃないです…」
「はは、バレー馬鹿だし馬鹿なんじゃない?」
「いや、俺は…!」

「ほら早くいくよ〜」と若干不服そうな飛雄の背中を押し、体育館へと誘導した。







「前!」
「ボェーーーッ!」

翔陽が前に落ちたボールを拾いに行こうと、顔面からスライディングをする。

この1時間の間で何回目だろう。私だったら顔無くなっちゃう…。

また飛雄と翔陽がガミガミと喧嘩を始めた。
…これも何回目だか。

しっかし、翔陽にはレシーブ力がない。
このままだと、試合形式になるのかすら怪しい。

「おいオマエら!…1つ言っておく。
 …大地さんは普段優しいけど、怒ると怖い。
 すごく怖い、すごくだ」
「?知ってます」
「この早朝練がバレたらヤバい。俺とAがヤバい」
「私は普段の信頼があるから田中に巻き込まれましたって言うし、問題ない」
「おまっ…まあ、とにかく、この早朝練を知っているのは俺ら4人だけだからくれぐれも…」



ガララッ



「おー!やっぱ早朝練かあ!」

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にば(プロフ) - みらい@マサイさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉…!できるだけ早く更新できるように頑張りますね^_^ (12月7日 15時) (レス) id: 9ed8e31803 (このIDを非表示/違反報告)
みらい@マサイ(プロフ) - 控えめに言って最高過ぎる。なんだこの作品…ッ。大好きです!更新楽しみにしてます!! (12月7日 12時) (レス) @page8 id: 98691296bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にば | 作成日時:2024年11月23日 3時

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