【d!】ヘビースモーカーと嫌煙家【z/m】

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家に帰り、お風呂に入り髪も乾かさずにタオルを肩にかけたまま冷蔵庫へ向かう。
缶ビールを一本取り出しそれを持ってベランダに出る。


冬の夜特有の冷たい空気がお風呂であったまった体を冷やしていく。


缶ビールを開けて一口飲むと夏とはまた違う美味しさに幸福感が溢れる。んー、寒いけどうまい！


タバコを一本取り出し火をつける。
ふぅ、と煙を吐き出し澄んだ空に浮かんでくのを眺めながらさっきのことを思い出す。


��クリスマス俺にちょーだい？��


「あれから一年経つのか…」


去年のクリスマス前に元彼と別れたことを思い出して沁み沁みする。


傷は残っているにしろ思い出す回数も減り、辛くなることも無くなった。彼との事を多少なりとも忘れられているのかそうでないのか…。
まあ、本人を前にしてしまうと堂々としてられないのは確かなのだけど。


最後の一口のビールを流し込み、空になったアルミ缶を軽く握るとペキペキとその部分がへこんだ。



ゾムくんに惹かれている自分がいるのは何となくわかる。
だって可愛いんだもん。素直。態度も言動もめっちゃ素直。
こんなわかりやすくアピられたら誰だって少しくらいはときめくと思うんだ、女の子だし。


…それでも私が幸せになっていいのだろうか。


先ほどのクリスマスの誘いも曖昧に返してしまった。正直なんて言ったらいいのかわからなかった。


冷たい風が吹いて伸びきった灰がぽとりとベランダに落ちる。


「…ご飯食べよ」


火照っていた体はもうすっかり冷めてしまっていて、これ以上は風邪引くなと思いそそくさと部屋に戻り駅前のスーパーで買ったお惣菜を温めた。

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