【d!】ヘビースモーカーと嫌煙家【z/m】

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「…それでこの前エントランスで久しぶりに彼に会って…」

「それであんな顔してたんやな」

「ごめんね、余計な心配させちゃって。ただの最低な女の話だから」


私への好意は早く消し去ったほうがいいよ。
そう言う意味を込めて言うとゾムくんはとても真剣な顔をする。


「先輩は分からなかったんやろ？確かに不倫ていけない事やけど好きになったらどうしようもないやん。それにA先輩はその事実がわかったらすぐに身を引いて今の今までずっと自分を責めてきて、相手の男のことは責めてへんやん」


めっちゃええ子やんと、小さく呟いたゾムくんの切なそうな愛おしそうな声にぐらっと何かが揺らぐのがわかった。


いい子なわけない。私のやらかしたことは少なくとも世間から見れば批判されて当然のことだ。


それでもゾムくんにしろ、トントンにしろ、友人にしろ、私を責めないで元彼の方に怒りを向ける。
それだけでも私の心が救われるのは悪いことだろうか。


「…俺、A先輩が好きやねんで？それもひっくるめて、今の先輩を作ってきた過去も全部好き」


突然の告白なのにスッと心に入ってくるのは何故だろう。
ゾムくんの翡翠の瞳から目が離せなくなる。


「すぐやなくていいから俺のこと考えて？」

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