ゆきのいえ

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青「んぅ〜っ！」




黄「しょうたのものじゃないから。

　ほら、立って。そんなことしても渡しませーん」




歯磨き粉を隠しても、床に座り込んで抵抗する翔太。




黄「今は顔を洗う時間。

　座る時間じゃありません」




両脇に手を入れて、近くのイスに座らせる。




黄「はい、拭くよ」




青「んきぃっ」




怒って自分の髪を引っぱろうとする




翔太の手を掴んで止める。




黄「痛いからやめよ。

　…おしまいおしまい。はい、お部屋行こー」




顔をさっと拭いて髪をさっととかして、




背中を押しながら部屋に戻る。




黄「はい、タオル。

　…そんなにすぐ怒んないでよ」




翔太の精神安定剤、ふわふわの触り心地の




タオルを渡すと、ほっぺにすりすりしたり




ひらひら動かしたりして落ち着いてきた。




ふわふわした感触のものを触ると落ち着く




翔太の部屋は、ぬいぐるみだらけ。




先輩のふっかがとってきたものとか




元々 翔太が持ってたものとか。





翔太は“ゆきのいえ”では最も障害が重くて




ほぼすべての場面で介助が必要。




気に入らないことがあったり、




気圧の変化や天気の影響で不安定になると




自分の髪を引っぱったり、顔を叩く自傷をする。




それと、月に3回くらい、夜中に突然




大声で泣き出したりすることがある。




俺たち担任はフラッシュバックして




嫌なことを思い出してるんじゃないか、って




思ってるけど、実際のところはわからない。

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