一等星の彼女が、闇に隠れた訳【掃き溜めの星】

Nr.5 ページ5

「きっと、突然に遺伝子が変化でもしたのでしょう。命や生活に支障はありません。」

お医者さんはそう仰っていたけれど、私にはそうは思えない。

あのときの様子、お母様が写真と絵に残して下さっていた。

その写真を見たとき、こんなことを思ったわ。

『あの雪や氷を、私が取り込んだのかしら？』

普通に考えれば、ただの可笑しな空想。

でもこの連写の写真、まるで……私が中心になって、雪が取り巻いているような感じだわ。

ただ、いくら考えたところで、この答えが出るはずもない。

仕方がなく、気を紛らわすことにした。

デザイナーの仕事を先取りして終わらせて、会社経営の見込みも立てた。

今度はスケートをして。

弓を射って、ヴィオラを弾いて、フェンシングをして、フルートの手入れをして、料理をして、洋服を仕立てて、アクセサリーを細工して、琴を弾いて……。

お母様のパソコンから、自動で新しく仕入れた最新の情報を元に、私服も作った。

流行のカラーに好きな形、アクセサリーとの相性。

このデザイン画を元にして作られた服は、飛ぶように売れたらしいけれど、それはこの際どうでもいいわ。

何に没頭しても、気が紛れない。

どれだけスケジュールを詰めても、頭から離れて行か無い。

そこで仕方がなく、私は観点を変えてみることにした。

『あの現象は何か』ではなく、『あの現象はどうして起きたのか』を考える。

何年かかっても、この答えを探してみることにした。

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