別れるくらいなら(T.K) ページ45
車内に漂う険悪な空気。
マネージャーさんの目が泳いでいる。
Aと喧嘩をした。
キッカケは些細なことだった。
引くに引けず、拗らせること早3日。
藤原「お前らさあ…」
丈くんが溜息をついた。
藤原「ええ大人がいつまでも続けることちゃうやろ、」
高橋「いや…」
言い訳を並べようとした俺を睨む丈くん。
黙ることしかできずに口を噤む。
A「私は悪くない」
Aが言い放ったその言葉でマネージャーさんが頭を抱えた。
頑固で意地っ張りで負けず嫌いなAはいつもスタッフさんを悩ませている。
藤原「俺らの気持ちになってみ？」
別に喧嘩したい訳じゃない。
Aは俺にとって大切なメンバーであり、たった1人の彼女。
少しでも早く仲直りしたいに決まってる。
A「恭平が謝ったらええんちゃう？」
高橋「何なん？その言い方…」
再び丈くんに睨まれて言葉を飲み込んだ。
何でさっきから俺ばっかり―
と思ったけれどそれも胸の中にしまい込んだ。
藤原「ええか？俺今からコンビニ寄るから」
高橋「…はい？」
藤原「スタッフさんも」
丈くんは今まで見た中で1番の呆れ顔を浮かべた。
藤原「2人で話して今解決せえへんのやったらお前らの関係は認めへん」
高橋「えっ、」
藤原「今すぐここで別れるか仲直りするかの2択や」
暫くして辿り着いたコンビニの駐車場。
あっという間に2人きりにされてしまった。
高橋「…A」
A「何？」
刺々しい口調。
高橋「…丈くんに言われて謝るんおかしいけど」
こうなったら素直に謝罪するしかない。
高橋「ほんまに…」
A「ごめん」
くるりと振り返ったAが真っ直ぐに俺を見つめる。
A「いつも我儘ばっかでごめん」
付き合い始めて1年。
初めてAが先に謝った。
高橋「いや…俺もごめん」
拍子抜けする俺、あくまで平然としているA。
A「はい、仲直り」
高橋「急やな」
A「別れるくらいやったら謝った方がマシ」
その言葉に頬が緩む。
A「考えられへんもん、恭平がおらん人生とか」
ホテルに帰ったら3日分愛し合うことを密かに決意した。
高橋「…俺も無理やわ、Aがおらんのは」
この先何度喧嘩したってきっと俺らは大丈夫。
根拠なんて1つもないのに妙な自信を感じた。
A「…ばーか」
高橋「ばかちゃうわ」
その後2人揃って丈くんに散々小言を言われたのはまた別のお話。
Fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
