ふたりの分岐点(K.K) ページ37
A「…辛い」
ポツリと呟かれたその言葉に顔を上げた。
小島「え？」
今にも泣き出しそうなAの表情が目に入って戸惑う。
小島「えっ…何やねん急に」
A「辛いねん」
眉尻を下げたAと視線を交える。
A「小島がイケメンすぎて辛い！！」
小島「…は？」
思わず口を開けてポカンとしてしまった。
だけどすぐに腹が立ってきて、眉間にたっぷりとシワを寄せてAを睨み付ける。
小島「そんなんで泣きそうな顔すんなや！」
A「やって辛いんやもん！」
小島「何が辛いねん！俺がイケメンなんは元々や！」
今度はAが俺を睨み付ける番。
A「それはちゃうわ」
小島「褒めるんか貶すんかどっちかにせえへん？」
Aが俺の容姿を褒めることなんてなかなかない。
―いや、冷静に思い返せば初めてかも。
A「悔しい、」
小島「何が？」
A「なんか負けた気する」
勝ち負けなんてないやろ。
心の中でツッコミを入れつつも素直な頬が緩む。
A「ニヤニヤすんな」
Aとはそこそこ長い付き合い。
グループを結成する前からそれなりに仲は良かった。
A「元々小島のことかっこいいとか思ったことなかってん」
小島「失礼な奴やなあ」
A「けど最近ほんまにかっこええからさ、」
軽く俯いたAが照れたような顔をしたのを見逃さなかった。
A「…初めて小島のこと"男の人"なんやなあって思った」
男女とはいえ異性としての意識は殆どない。
それがメンバーだからなのかは分からない。
だけどそれが今、確実に変わろうとしている。
A「誠也くんとか正門とかリチャくんは元々かっこええやん、大晴と晶哉は可愛いし」
小島「今までの俺は何やったん？」
A「んー…何やろ、分からへん」
この変化がどう転ぶのかは分からない。
良い方向へいくのか、それとも否か。
小島「それほぼ告ってんのと同じやで」
先程の比にならないレベルで恥ずかしそうにするAを見てまた頬が緩む。
A「…ちゃうわ」
小島「俺はいつでもウェルカムやけどな」
A「アホなこと言わんといて」
Aの顔を覗き込む。
首を捻って無理矢理視線を逸らす姿に愛おしさを覚えた。
小島「なあ、もっかい俺のこと褒めてや」
きっと今が分岐点。
俺らの新しい道が始まる瞬間。
A「…好き」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
