年下の男の子(N.K) ページ23
俺が1つ歳を取ればAちゃんも1つ歳を取る。
年齢差は絶対に縮まらない。
つまるところ、俺はこの先もずっとAちゃんに子供扱いされ続けるということになる。
A「はっすん、こないだ言ってたとこ一緒に行かへん？」
大橋「ええよ〜、いつにする〜？」
長尾「何の話ですか？」
すかさず会話に割って入った。
大橋「ご飯行く話やで」
長尾「えー！俺も行きたい！」
A「あかん」
あっさりと即答されて出鼻をくじかれた。
以前まではどうにかして大人に見られようと努力をしていた。
"年下"の概念を壊し、対等に接してもらおうと必死になっていた。
だけど最近の俺は違う。
"年下"である事実を最大限に活かして弟的なポジションでAちゃんとの距離を縮めようとしているのだ。
長尾「何でですかあ！俺も連れてってくださいよ！」
A「あかん」
長尾「えー！」
頑なに首を横に振り続けるAちゃんに甘えるような目線を送る。
残念ながら効果はなく、代わりに大橋くんが申し訳なさそうに眉尻を下げた。
大橋「謙杜はまた今度別んとこ連れてったるな」
長尾「仲間外れにせんといてください！」
大橋「ごめんなあ、でも俺らが行くんお酒飲むとこやねん」
"お酒"という単語に絶望する。
それは俺がどれだけ頑張ったって勝てない、法律という壁に阻まれた大人だけの娯楽だから。
大橋「謙杜ももうすぐ飲めるようになるんやから…そんな悲しそうな顔せんといて」
長尾「…成人したら連れてってくれます？」
大橋「ええよ〜」
長尾「Aちゃんは？」
A「はっすんと行ったらええやん」
呆れたような顔。
相変わらずのつれない態度。
やっぱりどこまでいっても俺はAちゃんにとって子供でしかないらしい。
長尾「…何で大橋くんとは行けて俺とは行けないんすか、」
軽くいじけてみる。
だけどAちゃんは動じない。
大橋「謙杜拗ねてる〜可愛い〜」
大橋くんからの"可愛い"なんて別に嬉しくない。
長尾「Aちゃ〜ん！」
A「しつこい」
スマホに目を落としたAちゃんが小さく溜め息をついた。
A「…連れてったってもええけど」
長尾「えっ！」
A「…私お酒弱いし、ちゃんと最後まで面倒見てや」
ズルいなあ。
意図的な形勢逆転に胸が苦しくなる。
長尾「任せてくださいよ！」
俺は"年下"らしく無邪気な笑みを浮かべた。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
