好きよりもっと(M.S) ページ18
リハーサル中にAちゃんが倒れた。
どうやら理由は貧血らしい。
大西「大丈夫かなあ」
藤原「まあ…何とかなるんちゃう？」
長尾「Aちゃん元々貧血気味ですもんね」
不安気な顔を浮かべるメンバー。
勿論俺も例外ではない。
本番まで時間がない。
大勢の観客が俺達を待っている。
だけどそれ以上に、Aちゃんの体が心配で仕方がない。
それはグループの一員としてではなく、きっと―
道枝「俺…見てきます！」
思わず走り出した。
まだヘアセットすら終わってない。
メイクもせなあかんし、衣装の最終確認も―
道枝「Aちゃ…」
救護室の扉を開けた瞬間、時が止まったかのような感覚に陥った。
道枝「…うわあ！ごめんなさい！」
すぐに扉を閉めた。
心音が鳴り響く。
頬が熱くて仕方がない。
ショート寸前の脳内にフラッシュバックする今見た光景。
白い肌、細いウエスト、淡いピンクの下着―
図らずも見てしまった着替え姿に動揺が収まらない。
A「…みっちー？」
遠慮がちな声と共に開いた扉。
振り返ることができずにただただ焦る俺。
A「ごめん、丁度着替えてて…」
道枝「あ、あの、ごめんなさい！！」
廊下に響き渡るくらいの大声で謝罪の言葉を述べる。
A「…もう服着てるからこっち向いて大丈夫やで？」
道枝「いやあの…」
こんな情けない顔、見られたくない。
Aちゃんを直視できるはずがない。
A「…みっちー？大丈夫？」
道枝「あ…えっと、Aちゃんこそ大丈夫ですか？」
A「うん、着替えたら戻るつもりやってん」
鳴り止まない鼓動。
襲いかかる罪悪感。
それでも忘れられない光景。
道枝「あの…ほんまにごめんなさい」
A「私こそごめん、不快にさせたやんな、」
道枝「いや、そんな…！」
俺は思わず振り返った。
Aちゃんと真正面から目が合う。
A「あ、やっとこっち向いた」
目尻を下げて柔らかく微笑むAちゃん。
心做しかいつもより暗い顔色に不安な気持ちが押し寄せる。
道枝「…ほんまにもう大丈夫なんですか？」
A「ん、大丈夫」
無理なんかしてほしくない。
仕事よりグループより、自分を大事にしてほしい。
だって俺はAちゃんのことを―
A「みっちーはよ行こ？」
道枝「…はい！」
いつか必ずこの気持ちを伝えてみせよう。
"好き"よりもっと、素敵な言葉で。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
