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疑惑浮上 ページ9

辺りが暗くなる頃、太宰が同業者の人間に引き摺られて帰って行ったのを爆笑しながら眺めた後、
レフは宿泊しているホテルの机に向き合った。

部屋の灯りは点けず、デスクライトのみが橙色に机を照らされる。

薄暗い部屋にカリカリと筆を走らせる音が木霊した。

ピタリ、と筆が止まる。



『……駄目だな』





最近は親友にも会えず、1人で店を渡り歩くばかりで執筆活動が進まない。

今日は中々良き出逢いがあった為、最近燻らせていた小説を書いてみるが矢張り筆は進むことは無かった。


そんな中、唐突に、あるアイデアが浮かんだ。




『ホテルではなく、住居を買うものか…』




ホテルも良い。
24時間どんな時でも対応してくれるホストマンはいるし、言えば朝昼晩と食事が用意されるし部屋は常に清潔だ。



然し、自宅という語呂は如何にも心惹かれるものである。

ホームシックにでもなったのか、と首を傾げるがそうでも無い気がする。




『思い立ったら、すぐ行動!人生は短いのだからね』




何千万とする新居達をパソコンで眺めながら良さげな所はあるものかと物色していると部屋の扉が叩かれた。



『おや、こんな時間に誰だろう』




不用心にも誰が来たのか確認もせず扉を開け、訪れた人物を見るとレフは之でもかといわんばかりに目を見開いた。



「…今晩わ」


『フェージャ君!』



予想外な友の訪問に驚き、そして喜びが胸一杯に広がる。


「入っても?」


と、言いながらズカズカと部屋に入るフョードルに仕方が無いと眉を下げながらもレフは満面の笑みで無言の肯定をした。



ふと、フョードルが横を過ぎた時フワリとアルコールの匂いが鼻を掠めた。



『フェージャ君…』


「何です?」


『僕以外の人とお酒を飲んでいたのかい!?浮気だ!酷いじゃないか!!』


「は?」



態とらしく拗ねたように顔を膨らませると友はじっとりと此方を見た。



面倒臭がっているその様子に表情とは裏腹にレフは心の中で微笑んだ。

境界線→←友への贈り物



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なはて(プロフ) - ものすごい面白かったです!作者様の気が向いたらでも良いので、続きを書いてくれたら嬉しいです! (2022年4月25日 7時) (レス) @page22 id: 72c776ebcc (このIDを非表示/違反報告)
天人鳥(プロフ) - すんごい続きが気になります…。更新お願いします! (2022年3月28日 19時) (レス) id: d581acac34 (このIDを非表示/違反報告)
塩じゃけ(プロフ) - この作品完結してしまったのでしょうか…?続きが気になります! (2021年5月1日 12時) (レス) id: 5986ae6a0e (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - わたくしさん» それなです〜ほんと色とかもつけて欲しいです。絶対上手い (2021年3月27日 23時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
わたくし - 絶対デジタルで絵描いたら上手いですよ! (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6ee51eba6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年7月16日 23時

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