強き女性 ページ20
バシィン!とレフの背中を与謝野が叩いた。
『っい!、何を…』
「妾には、アンタがなんでそんなウジウジ悩んでんのかわかんないね」
与謝野は真っ直ぐレフの瞳を見る。
鋭く見つめられ、レフはたじろいだ。
「アンタとフョードルは友達なんだろ?それでいいじゃないか、そんな悩んでへこたれて項垂れる暇があんなら今どうすべきか考えるンだね!」
『そ、それでいいって!そんな簡単な事じゃないんだよ!』
レフは思わず声を上げた。
何も知らない。今までのフョードルとの関係性も、微妙なギリギリの所で保っていた距離感も。
女性に声を上げてしまい、レフはすまないと謝罪する。
『でも、本当に…簡単じゃないんだ。だってフェージャ君にとって僕は…友として認識されていない』
「だからなンだって言うんだい。友と認識されていないだって?アンタがそう思ってんなら上等だ!フョードルぶん殴って、自分の意思押し付けりゃいいんだよそんなモン!」
『押し、付ける…』
考えたこともない、突拍子も無い言葉にレフはあんぐりと目の前の与謝野を見た。
「大体、話聞く限りじゃそのフョードルもアンタに気を許してるんじゃないのかい?
じゃなきゃ、アンタなんて弱っちぃ奴は社長の時にポックリ逝ってるだろうさ」
与謝野はニイ、と悪い笑みを浮かべる。
『ふ…はは、』
その様子に、レフは思わず声を上げた。
『そんな、そんな風に考えたことなかったよ…気を、許してくれていた…確かに、うん。そうだね』
ーーー嗚呼、そっか。そうなのか。
レフは確かめるようにそっとウシャンカを握る。
『何だか、元気づけられてしまったね。ありがとう与謝野先生。さすがお医者様だ』
「妾は、思った事言っただけだよ」
『でもそれに僕は元気づけられたんだよ、ありがとう』
もう一度、レフが感謝の言葉を口にすると与謝野はそうかい、と快活に笑った。
ーーーフェージャ君がどれ程僕を友だと認めなくても、僕自身が友と信じればいい。
『…この帽子は君にあげたんだから…返されても困るんだよ』
ーーー決心は、もうついた。
157人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なはて(プロフ) - ものすごい面白かったです!作者様の気が向いたらでも良いので、続きを書いてくれたら嬉しいです! (2022年4月25日 7時) (レス) @page22 id: 72c776ebcc (このIDを非表示/違反報告)
天人鳥(プロフ) - すんごい続きが気になります…。更新お願いします! (2022年3月28日 19時) (レス) id: d581acac34 (このIDを非表示/違反報告)
塩じゃけ(プロフ) - この作品完結してしまったのでしょうか…?続きが気になります! (2021年5月1日 12時) (レス) id: 5986ae6a0e (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - わたくしさん» それなです〜ほんと色とかもつけて欲しいです。絶対上手い (2021年3月27日 23時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
わたくし - 絶対デジタルで絵描いたら上手いですよ! (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6ee51eba6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウリ | 作成日時:2019年7月16日 23時