【ツイステ】マレウス様の侍女はとても愛される精霊さんらしい。

好物ハプニング！ ページ30

リドルside


「〜♪」

「なんか寮長めっちゃご機嫌じゃね？」

「あぁ……。何かとてつもなくいい事があったんだろう」

エースとデュースがコソコソ何か言っているけれど、今の僕は気にしない。

何故かと言うと、今はそんなの気にしてる暇がないほど楽しみなことがあるからだ！

先程Aに貰ったいちごタルト！どうやらAの手作りらしい。

そう。僕はこれを食べるのが楽しみで仕方ないんだ……！

ケーキ箱の持ち手に括り付けられた『いつもお疲れ様です』のメッセージカード。

一言だけでも愛を感じるのは、きっとあの子の優しさを知っているからだろう。

まずこれを食べる前に紅茶を淹れよう。なんの紅茶がいいだろうか……。

そんなことを考えながら談話室を出ようとすると、ボクがドアを開ける前にドアが開いて、寮生が勢いよく入ってきた。

「｢うわっ？！｣」

まぁ、そうなれば当然ぶつかるわけで。ドンッと勢い良く相手とぶつかって、その時にグチャッと嫌な音がした。

「……は？」

考えたくなかった。信じたくなかった。まさか……、ぶつかった拍子にAのお手製いちごタルトが潰れたなんて……。

「すっ、すみませんっ、寮長！」

寮生の謝罪なんて聞かず、急いで箱の中を確認する。

「あっ、あぁ……っ、嘘だ……、嘘だ……っ！」

やはり箱の中のいちごタルトは原型を留めることなく無惨に潰れていた。

ボクは、泣きそうになるのをグッと堪えてぶつかった寮生をキッと睨む。

「ひぃっ！りょっ、寮長、すみません……っ！」

「……す…け……だ……」

「ぇ？」

「許すわけないだろうっ！！」

ハーツラビュル寮の寮長の杖を出して、その寮生に突きつける。

「ひぃっ！」と短く悲鳴をあげた寮生は腰が抜けて動けないようだ。

「Aのお手製いちごタルトを潰すのは立派な重罪だ。今すぐ首をはねてやる！！“首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)！”」

「うわぁぁあっ！！！」

ガチャンッと首輪がはまる音がする。

こんなので……、こんなので気が晴れるわけがないっ！せっかく……、せっかくAがボクのために……っ。

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