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その日から俺はまずAとまともに、今まで通りに会話できるように頑張った。この感情は、バレてはいけないものだからだ。仮にも相手はまだ学生で、俺はもうすぐ三十路を迎えるおっさんであることを忘れてはいけない。
しかし
「せんぱーい、ここの棚整理してもいいっすか?ぐっちゃぐちゃで見にくいし、あと異世界モノを前面に推したいです」
「あ、あ。うん、ええよ」
「わーい!」
「先輩!休憩一緒にいこー」
「あ、先に!行っとけ!しし、仕事やってからいくわ」
「えー…はーい」
何かと俺を呼ぶ彼女に普通に返事が出来なくなってしまった。
……これが20年以上、恋人という存在を認知すらしなかった男の末路だというのか。あまりにも酷すぎる。しかし、俺自身はそのことを自覚して毎度毎度ちゃんと話そうとするのだ。
やけど、無理やねん
「(顔見たら胸がバクバクするし顔も熱なるし、なんか途端に恥ずかしくなる…!!)」
逆にこんな状況をどう打破しろというのか、俺にはさっぱりわからなかった。
そして俺は思いつく。
わからないなら聞けばいい。
「え!やっと自覚したん!?」
仕事終わり、Aがロボロのせいで早々に帰宅した日、俺はシャオロンの首根っこを掴んで居酒屋へと連行した。
そしてこの台詞である。
酒を飲ませたら面倒なので、ジンジャーエールを飲ませているが、シャオロンは酔ったときと変わらず、俺を指差して笑った。
「マジか!!トントン、そこまで拗らせとったんかい!」
「拗らせる言うな」
「いやぁ、俺はとっくに気づいてると思ってたわ」
「……」
「だって俺とAちゃんが喋ってるときのトントンの目!人殺せる目してたもん!」
「そんなんしとらんわ、……多分」
たしかに二人が話しているときは、何かされないかとか困ってないかとか心配でチラチラ見るようにはしていたが、人を殺すような視線では見ていないはず、多分
「はぁあ〜そうかぁ、やっと好きってわかったのね〜ふんふん」
「…やめーや!そういう話とちゃうねん」
「え?どういう話なん?」
「…いや、だから」
そうして俺は事の全容を話した。
Aを見てると胸がバクバクしすぎて痛かったり、顔が熱くてAとまともに顔を合わせられなかったり…このままでは仕事にまで支障を来すかもしれない…
そう伝えたらシャオロンは意外と真面目に「ふんふん」と頷いて聞いてくれた
「どうしたらええかな…」
「告白して付き合ったらええんちゃう?」
「ン?」
ン?
→
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まる。 - 予想外すぎて(笑)大笑いしてしまいました!ありがとうございました! (2023年1月24日 12時) (レス) @page46 id: f4ad072890 (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - 面白い作品ありがとうございますwwwwまさかのストーカー…!?wwww面白すぎますっwww (2020年11月24日 2時) (レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうなんこつ - 遅れましたが完結おめでとうございます! まさかのカミングアウト(?)すぎて10秒位固まりましたw とっっっても素敵な作品をありがとうございました! (2019年9月24日 0時) (レス) id: 90426beaf5 (このIDを非表示/違反報告)
明浄(プロフ) - 初めまして!完結おめでとうございます。とても素晴らしい作品をありがとうございました!!! (2019年9月20日 0時) (レス) id: c1ca5eb15a (このIDを非表示/違反報告)
こにまる(プロフ) - 連載完結お疲れ様です!楽しく読まさせていただきました!とっても最高でした、ありがとうございます! (2019年9月19日 22時) (レス) id: 925e5fcb5d (このIDを非表示/違反報告)
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