夏が ページ20
_____「上杉君。」
花火の音がなくなって急に静かになった。
上杉君を呼んだ声が妙に大きく感じて鼓動が早くなるのを感じた。
ずっと考えてた。
彼と目が合う度に、
名前を呼ばれる度に、
すれ違う度に、
約束を交わす度に、
彼のことを考える度にドキドキするのはなんでだろうって。
ようやくわかった気がした。上杉君が真剣に伝えてくれた想いは、私に答えをくれたよ。
だから私も…伝えなきゃ___
もう一度大きく息を吸って、周りにある酸素を目一杯に吸い込んで顔を上げた。
「上杉君。」
目が合った。ドキドキする。でももう戻らない。
「私ね…」
その言葉を口にした瞬間、お祭りでの思い出が走馬灯のように頭を駆け抜けていった。
待ち合わせっていうものをした。
一緒にわたあめを食べた。
金魚すくいをした。
上杉君って本当になんでもできるんだなって思った。
ヨーヨーを釣ってもらって嬉しかった。
花火を一緒に見た。
告白を…された。
わたあめも、金魚も、ヨーヨーも、花火も、好きなのも全部、上杉君じゃなきゃダメなんだ。
だから…、伝わってくれますように。
ヨーヨー…
ヨーヨー?
あっ、私上杉君にもらったヨーヨー置いて来ちゃった!?嘘っ…!
取りに行かなきゃ!
「ごめん、上杉君!!」
急いで取りに行かないとと思い一旦断りを入れた。
そう言った私を少し悲しそうな目で見てた。はて?なんでだろ。
「上杉君に釣ってもらったヨーヨー、どこかに忘れて来ちゃったみたいなの。だから探しに行ってくる!本当にごめん!」
「は?」
「取りに行かないとなの。」
「じゃ!絶対見つけるから安心してっ!」
***
上杉君と別れてからしばらく走って最初に待ち合わせていた場所に着いた。
「彩。」
「夕!あのね、ヨーヨー忘れちゃったみたいなんだけど知らない?」
「もしかして、これのこと?」
そう言った夕が手にしてたのはまさしくそれで。
「あ!それ!」
手を伸ばしたら、フイっと避けられた。
「あげない。」
「ちょっと」
「あいつにもらったもんなんて渡すかよ。」
「上杉君がどうかした?」
「彩、俺は彩のことが好きだよ。恋愛って意味で。」
え…
「返事は後でいいから。それと、あいつより俺の方がいいと思う。」
それだけ言って夕は走っていった。
私は、どうすればいいかわからなかった。
ーーーーーー
美門智
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黒木玲奈(プロフ) - 夏蜜柑さん» そうですね、書いてるときも思うほどです。wありがとうございます!頑張ります! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 上杉君カッコイイ アーヤ自分の気持ちに素直になって!と思っていました更新頑張ってください応援しています (2018年8月25日 20時) (レス) id: fa082eb104 (このIDを非表示/違反報告)
黒木玲奈(プロフ) - *suzu*さん» 楽しんでいただいてるようで、幸いです!ありがとうございます、作者一同頑張ります!これからも、どうぞ夏色をよろしくお願いします。 (2018年8月25日 11時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
*suzu* - すごくドキドキさせてくれるお話です!榛名くん, 上杉くんがカッコいい!これからの展開が楽しみです。まだまだ暑いですからお体に気をつけて更新頑張ってください。 (2018年8月23日 11時) (レス) id: a962bd5f54 (このIDを非表示/違反報告)
橘綾(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます!そういっていただけて作者一同、大変うれしいです!皆様の期待に添えるよう、頑張ります! (2018年8月11日 18時) (レス) id: 785a5fde57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上杉奏&美門智&橘綾&黒木玲奈 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年4月10日 21時