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「どうしても弟が良い？」
「……まあ、出来れば」
「法律でどうこうしなくても、私たちがそう思ってればそうなんじゃないの？」
「だけど……でも、もしヌナが死んだら、それだとオレはヌナの遺産を受け取れないでしょ」
「な、なるほど……それが目当てか……」
「家族じゃないとダメな事って、オレ達が思ったよりたくさんあるみたいで」
「そんなの考えた事も無かったなぁ」
「結局、法律でどうこうしないとオレ達、いつまでたっても他人のままなんだよ」
ないものねだりとはこの事なんだろう。
あまりにも非現実的で、別に欲しいと思ってないようなことがポンポンと口から出てくるのは、内心本当は欲しいと思っているからなんだろうか。
仮に、紙の上での「姉と弟」という権利を認められたところで、この人の何かが変わるとは全く思えない。
相変わらず優しいだけで怒りはしないだろうし、年下からのお願いにはいつも通り前向きに検討するんだろう。
じゃあオレは、何が欲しくてこんな事を言ったのか。
“弟”というトロフィーを独り占めしたくてこんなことを考えているとしたら、自分でもなかなか悪趣味だと思う。
「ジェミンは普段わがまま言わない分、結構厳しい事ねだってくるよね」
「あっ、忘れてた……」
「何を？」
「ヌナに言うと本気にするから、冗談こそ言わないようにしてたのに」
「もう聞いちゃったけど」
「……じゃあ代わりに、その取ってあるチェリーちょうだい。まだ手を付けてないやつも、二つとも欲しい」
「いいよ。ジェミンが食べると思って置いといたやつだから」
「絶対嘘」
「本当だって。ねえ、ジェミン」
「ん？」
「まだジェミンだけだよ、身内以外は」
「……何が？」
「何だと思う？」
ケーキに向けていた視線をオレに寄越して、Aヌナがほんの少し意地悪そうな表情をする。
何を言われなくてもあの日の、冗談を本気にされてしまった日の事を言ってるんだと気付いて、随分とあやふやになっていたあの部屋の記憶が浮かび上がってくる。
「……どうしていきなりそんな事言うの」
「ジェミンが聞きたそうにしてたから」
そう言われてしまえば出し抜かれた気分になり、肩の力が抜けていく。
多分きっと、自分に姉という生き物が本当に存在していたとすれば、この人によく似ていたんだろうなと思った。
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せの(プロフ) - よよさん» ありがとうございます！こちらこそたくさん読んでいただけてとっても嬉しいです！最後まであと少し頑張るのでよろしくお願いします〜！ (2021年3月15日 21時) (
レス) id: f4b310de98 (このIDを非表示/違反報告)
よよ - 終わっちゃうの寂しいですが、こんなに良い小説を長く書き続けてくださってありがとうございました。好きすぎて何回も読み返しています。最後まで応援しております！ (2021年3月15日 16時) (レス) id: 736e832086 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます〜！長かったようで短か……長い小説もやっと終わりを迎えられることが出来そうでうれしいです！☆ありがとうございます！がんばりま〜す！ (2021年3月15日 15時) (レス) id: 3487bfc826 (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - ついに次で最終章なんですね(;_;)凄く大好きな作品なので長かったような短かったような...という少ししんみりした気持ちです(;_;)☆を押すことしか出来ませんがNCTの紅一点、最後の最後まで応援してます！ (2021年3月15日 14時) (レス) id: 7e1d3bac26 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - mmmabcさん» ありがとうございます！完結！燃え尽きたいです！ (2021年3月15日 8時) (レス) id: 3487bfc826 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2021年2月1日 10時
