キュウジュウハチ ページ9
そうして時間が進み、ホームルームを終え、帰るために鞄に教材を詰めていた。
ファイルから少しばかりはみ出たプリントを折らないように考えて入れていく。
ショッピ君は部活なので、一緒には帰れない。
私は教室を出て校門に行こうとした。
が、大きな壁3人に阻まれる。
『せっ生徒会長…!!』
「すまんなぁAさん」
申し訳なさそうにするトントンさん
「Aちゃん!一緒に生徒会行くめう!」
嬉しそうに笑うオスマン先輩
「お前を生徒会へ歓迎しよう!!
その磨き上げられた演技力!
人間を見透かす観察眼!
人を操る知恵と美貌!
それら全てを!俺の元で役立てろ!
俺達と共に来い!AA!!」
まるで、王
私は王に認められた平民
そんな物語が生まれるような、迫力のある勧誘
廊下にいる人間の目は、全部私と生徒会長に注がれる。
紅いカーペットに、王座が見えてしまう。
生徒会長の風格は、私達に見えない王冠を見せた。
誰もが息を呑む空間で、私は差し伸べられた手に、自分の手を重ねた。
『断る理由が、無いです。
役に立ってみせます!私の知識、体力、技術、全てを駆使して!』
生徒会長の目をジッと見つめそう言うと、生徒会長は不敵に笑った。
「嗚呼、その返事を待っていた!!
歓迎するゾ!!A!」
グルッペンのその声に、Aを見ていた視線の歓声が湧いた。
トントンは少し呆れ気味に、オスマンは花のように笑顔で
そしてAは、この空気の中こう言った。
『はい!まずは何をしますか?
この学校の不良全員調教?
それとも不正を行っている教師の矯正?
何なりと!』
空気が固まった瞬間だった。
キラキラとやるよやるよとやる気を出している少女を目の前にグルッペンは高らかに笑った。
「くっはっはっは!
その情報は詳しく言えるのか?
いや、ここではあれだな、生徒会室へ行こう!
そこで詳しく聞かせてくれ!方法も作業工程も!」
イキイキハキハキワクワク
周りにそんな字幕が浮かぶのではないかというくらい、二人の周りはキラキラと輝いていた。
5歳児に加担するものが増えたのだった。
「ね、姉さん!!?」
『チーノ君!久しぶり〜!』
屈託のない笑顔で手を降るAに、チーノは釘付けになる。
「…戻った…昔の、笑顔や」
フラフラとAに近づいて、ギュッと抱きしめた。
Aは何でもないように、チーノの背中をなでた。
「おかえり…姉さん…!!」
『ただいま!』
やっと、本当の笑顔で、笑い会えた。
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サラミ - 一気読みさせていただきました!!最高です。ありがとうございました!! (2022年8月3日 10時) (
レス) @page30 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
ネミ - 読み終わった時めちゃくちゃ泣いました！本当に面白い作品をありがとうございます！弦生夏様のご活躍を願います！ (2021年8月27日 16時) (レス) id: 6a4c48ebc2 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - （続き）最高の時間でした。感謝してもしきれません。「視えてます」もこの作品の前に読みまして、間違いなく「勘違いすれ違い」が大好きになった原因は弥生夏様のお陰ですw 今後も応援させていただきます！最高の時間、ありがとうございました！ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 読了しました！完結おめでとうございます！勘違いから生まれるすれ違いが毎回濃くて面白くて、かと思えば私に無い面白い考え方が幾つも出てきて、展開も最高で飽きず、最後まで楽しく読めました！個人的に、この作品のお陰で気付けた自分の気持ちも幾つかあり、（続く） (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 誤字の報告です。106の初めの方、「に聞くわない」じゃなく「気に食わない」じゃないですかね……？ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年6月1日 21時
