ヒャクイチ ページ12
新たな学校生活、生徒会にも慣れて来て、文化祭の準備が着々と進んで、明後日となったある日
私は、ゾムに遊びに誘われたのだ。
３回目になる、放課後の遊び、ゲームセンターもう一度行きたいななんて思いながら、放課後生徒達が出ていく校門の前でゾムを待つ。
ショッピ君には言っておいたから心配されることは無い。
かと言って遅くなりすぎると捜索隊を出動させると心配の念を押されたのでなるべく早くに帰ろうと思っている。
そうこう思っていると、視界の端に緑が映った。
「チッチッチース!待ったか?」
鞄を肩に担いで手を振るゾム、目元は相変わらず見えないが、口元は笑っている。
ギザギザの歯が可愛らしい
『そんな待ってへんよ、遊び誘ってくれてありがとうね』
笑ってみせると、安心したようにゾムも笑う。
どこに行く？など話しながら、学校から離れ自転車を漕いだ。
ゾムは私に合わせたスピードで自転車を走らせてくれる。
「ゲーセンなんてどうや?前はコインゲームだけやったやろ!他のもやろーや!」
提案してくれた意見に、私は目を輝かせる。
『うん!行きたい!』
即答する私にゾムは笑った。
私も釣られて笑う。
まるで青春の1ページのようなシーン、私は、要らないと思っていた青春を謳歌しているのだ。
今思うと、全部強がりだったのかも知れない。
そうして私達はゲームセンターについた。
まだまだ真夏の最中、汗でピッタリと張り付いた髪を、ゲームセンターのクーラーが冷やす。
「涼しー!」
『ゾムはパーカー脱げばいいのに。
最っ高にいい面してんだから』
私がゾムのフードを指して言うと、ゾムは少し間を開けてニイッと笑った。
「俺の顔はAが知っとったらええねん!
それに、初めはこの顔隠す為やったけど、今じゃこれは俺のチャームポイントやねん!
やから、手放すことはできんな!」
フードの端をつまみ、少し上げてゾムは笑顔を見せた。
薄くなった影の下に、あどけない笑顔が見える。
私もそっかと微笑み返すと、フードを降ろして私の手を取り、あるき出した。
「俺マリカ得意やねんで!行こ!教えたる!」
『んはは!うん!よろしく先生!』
話しているだけで楽しい。
いるだけで、何かをするだけで楽しい。
高校生ってこういう物なのかな
何でもっと早く知らなかったんだろう
そう考えると、すごく損している気分になる。
一度しかない高校生活に、私は自分に傷を作るだけで終わろうとしていた。
となりで笑う彼を見て、楽しさを噛み締める。
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サラミ - 一気読みさせていただきました!!最高です。ありがとうございました!! (2022年8月3日 10時) (
レス) @page30 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
ネミ - 読み終わった時めちゃくちゃ泣いました！本当に面白い作品をありがとうございます！弦生夏様のご活躍を願います！ (2021年8月27日 16時) (レス) id: 6a4c48ebc2 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - （続き）最高の時間でした。感謝してもしきれません。「視えてます」もこの作品の前に読みまして、間違いなく「勘違いすれ違い」が大好きになった原因は弥生夏様のお陰ですw 今後も応援させていただきます！最高の時間、ありがとうございました！ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 読了しました！完結おめでとうございます！勘違いから生まれるすれ違いが毎回濃くて面白くて、かと思えば私に無い面白い考え方が幾つも出てきて、展開も最高で飽きず、最後まで楽しく読めました！個人的に、この作品のお陰で気付けた自分の気持ちも幾つかあり、（続く） (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 誤字の報告です。106の初めの方、「に聞くわない」じゃなく「気に食わない」じゃないですかね……？ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年6月1日 21時
