視えてます。【wrwrd】

ななわ ページ8

朝早く、母に叩き起こされ顔を洗い朝食を食べる。咀嚼して飲み込むを繰り返していると、携帯を触る母の秋田犬が尻尾を嬉しそうにパタパタと振る。
母の表情は心做しか嬉しそうだ。
たーぶーん…

「彼氏?」

「まだお友達よ!」

「そっか」

母は現在36、21のときに私を産んだ。
バツイチとかでは無い。結婚すらしたことがない人で、まぁ最近多い事だ。

母が言うには私のお父さんは霊能者らしく、お母さんについた霊を祓ったことが出会いらしい。濃いよね。
山奥に篭もって修行すると言っていなくなったらしい。
胡散臭いよねほんと

「ごちそうさま、美味しかった」

「おそまつさま、そう、良かった!」

にっと歯を見せて笑うお母さんはまだまだ恋する乙女、もし私がお母さんの恋の障害になるようだったら一人暮らしでもしようかな

「…お母さん、バイトしたい!」

「どーぞ!」

「あざーす!」

基本的自由な海咲家、制服に着替え、スクールバックを背負い家を出た。

「いってきま〜す!」

「行ってら〜!」

マンションの3階分の階段を降り、小走りでバス停まで向かう。
バスはもう来ていて、間一髪で間に合った。

「ふう」

一息ついて開いてる座席を見つけると、隣の席に同じ高校の人が座っていた。

「あ、お隣いいですか?」

声をかけると、スマホを見て俯いていた顔を上げた。
パーカーで見えないだけかと思えた顔は影で何も見えない。目どうなってんの…?

「ぁ………どぞ…」

あたりを見渡し他に開いてる席内がないことを確認し、また俯いて返事をしてくれる。
人見知りかな…

礼を言いつつ彼の動物を探す。

……?
…いない…?

え、居ないってある?
周りを見渡せば他の人の動物は見える。

隣を見れば…

いない。
……ん?

彼のパーカーの一部をじっと見る。

キョロリ、目が開いた。

カメレオンだ〜!
かわいい〜カメレオンは初めて見たなぁ、え、かわいい…!
人に見られたくないのかな、悪いことしちゃったな

私はボソッと小さく

「お隣来ちゃって、ごめんなさい」

と手と手を合わせカメレオンさんに謝った。
するとこちらを見たカメレオンさんは驚いたように

「ぇ…」

か細くそう呟いた。

昨日のような過ちはおかしまいと私はつい撫でそうになる手を背中に回してつねりあげる。
いたい
目を合わせようとするのは駄目だと思うので前を向いておく

そう思っていると、ちょいちょいと服の裾をひかれる

「……次も、隣ええで」

俯いたままそう言われた。

かっわっよっ!!!

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