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―――イルミside
カメラを破壊して回るA
暖炉に投げ込み
手で潰し
足で踏み潰す
バリエーション豊かに壊していく様子に、口角が上がる
ノートパソコンの画面は、小窓が全て砂嵐のようになった
つまり彼女が全てのカメラを破壊し終わったのだ
さて、残るはオレのいる屋外
しかしゾルディック家の敷地内は山1つ分
探すにも相応の時間がかかるはずだ
ここなら死角になっているため相手からオレのことは見えないはず
玄関から出てきた彼女の手には見慣れない武器
既に手に馴染んだようで、投げたり回したりと扱うのに不便は無さそうだ
「へえ、いい武器じゃないか」
彼女はいくつか同じものを取り出すと、ゆっくりと当たりを見渡す
一瞬、目が合った気がした
そのままゆっくり一回りしたかと思うと、手元の武器を構え
―――カッ
すぐ横に刺さった
成程考えていることは同じか
大方いくつか目星をつけて投げてきたのだろう
そもそも見えていないのだからこちらは避ける必要は無い
あえて場所を教える必要も無いのだから
しかし
「いや、流石だねA」
家を出て、まずどこに潜むか考えた時
いくつか候補を搾った
相手が見えない土の中と、死角になるであろう木の上3ヶ所
そのうち、木の上である3ヶ所全てにその武器が刺さっていた
やはり多少のズレはあるが
彼女はオレの思い通りにはならない
でも、今のAはオレの手の内だ
生かすも殺すもオレ次第
勿論、殺す気など毛頭ないが
しかし
今、目の前にいる片割れはオレを探している
小さな苛立ちと、オレへの想いで頭をいっぱいにして
不思議な高揚感だった
ずっと、オレだけが必死にAを想っていた
傍にいたいと
傍に置いておきたいと
そう思っていた
でもどうだろう
今は違う
彼女はオレがいないと不安に感じ
オレの動きに小さな怒りを覚え
頭の中は今、お互いでいっぱいなのだ
「愛してる」
口をついて出た言葉
愛しい片割れには届かない、その言葉
本当なら、懲罰房にでも縛り付けて
閉じ込めておきたいのに
それが叶わないなら
分かってもらうしかないのだ
傍にいてくれない事の
苦しみと
寂しさと
どうしようもない虚無感を
ぽっかりと、穴が空いたような
体の一部を失ったかのような、この感覚を
まだ、もう少し
もう少しこの感覚を味わっていたい
お互いを想い想われるこの感覚を
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作者名：みこ | 作成日時：2022年7月12日 12時
