検索窓
今日:4 hit、昨日:15 hit、合計:21,244 hit

79 ページ29

―――イルミside


そういえば、もう何日も食べ物を口にしていない気がする


強引に渡された弁当箱は、まだ少し暖かい


病院の正面には大きな公園があり、子供たちが元気に遊んでいる


Aに言われたとおり、木陰のベンチに座り、弁当を広げた


ハムとレタス、ジャムの挟まったサンドウィッチが2つずつ並んでいる


その横には好物のたこさんウインナーとリンゴのうさちゃん、少し甘い卵焼き


「もう殻は入ってないね」


初めてAから作ってもらった弁当には、殻でじゃりじゃりする卵焼きが入っていた


嬉しかった半面、「こんなもんか」と思いながら口にしたのをなんとなく覚えている


「今度はおにぎりでもお願いしてみようかな」


なかなか思うように形にならず、苦戦する姿が脳裏に浮かぶ


―――フッ


「おや♤ こんなところでどうしたんだい?イルミ


見たところ、元気そうだけど♢」



目の前に現れたのは奇怪な格好をした戦闘狂ヒソカ


「お前こそ、病院なんて必要なさそうだけど」


「嫌だなァ ♡ 僕だって病院くらい行くよ?


・・・今日はたまたま通りかかっただけ ♧」


目ざといヒソカはオレの手元の弁当に目をつける


「ボクもソレ、もらっていいかな?♢」


「は?やるわけないだろ


自分で買えよ


売店はあっち」


「つれないなァ♧


ボク、キミの笑顔なんて初めて見たんだけど


何かいいことでもあったのかな?」


ヒソカの発言に耳を疑う


オレが?笑った?


「何言ってるのヒソカ


寝言は寝て言ってくれる」


「おかしいなァ ♧ ボク、目はイイ方だと思ったんだけど」


他愛のない


中身のない会話


いい暇つぶしにはなるけど


何せコイツの見てくれは目立ちすぎる


・・・気が付くと周りに子供たちが寄ってきていた


「ジャーン♧」とか言いながら手品を披露するヒソカの横で、Aがいるであろう病院を眺める


そういえば、弟たちがまだ小さかった頃、手品を披露したことがあった


力技すぎるとAに笑われたけど


ヒソカの手品に目をキラキラさせている子供たちと同じように、弟達も「イル兄すっげー!!」と喜んでくれたものだ


「・・・A」

80→←78



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
203人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みこ | 作成日時:2022年7月12日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。