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―――イルミside
そういえば、もう何日も食べ物を口にしていない気がする
強引に渡された弁当箱は、まだ少し暖かい
病院の正面には大きな公園があり、子供たちが元気に遊んでいる
Aに言われたとおり、木陰のベンチに座り、弁当を広げた
ハムとレタス、ジャムの挟まったサンドウィッチが2つずつ並んでいる
その横には好物のたこさんウインナーとリンゴのうさちゃん、少し甘い卵焼き
「もう殻は入ってないね」
初めてAから作ってもらった弁当には、殻でじゃりじゃりする卵焼きが入っていた
嬉しかった半面、「こんなもんか」と思いながら口にしたのをなんとなく覚えている
「今度はおにぎりでもお願いしてみようかな」
なかなか思うように形にならず、苦戦する姿が脳裏に浮かぶ
―――フッ
「おや♤ こんなところでどうしたんだい?イルミ
見たところ、元気そうだけど♢」
目の前に現れたのは奇怪な格好をした戦闘狂ヒソカ
「お前こそ、病院なんて必要なさそうだけど」
「嫌だなァ ♡ 僕だって病院くらい行くよ?
・・・今日はたまたま通りかかっただけ ♧」
目ざといヒソカはオレの手元の弁当に目をつける
「ボクもソレ、もらっていいかな?♢」
「は?やるわけないだろ
自分で買えよ
売店はあっち」
「つれないなァ♧
ボク、キミの笑顔なんて初めて見たんだけど
何かいいことでもあったのかな?」
ヒソカの発言に耳を疑う
オレが?笑った?
「何言ってるのヒソカ
寝言は寝て言ってくれる」
「おかしいなァ ♧ ボク、目はイイ方だと思ったんだけど」
他愛のない
中身のない会話
いい暇つぶしにはなるけど
何せコイツの見てくれは目立ちすぎる
・・・気が付くと周りに子供たちが寄ってきていた
「ジャーン♧」とか言いながら手品を披露するヒソカの横で、Aがいるであろう病院を眺める
そういえば、弟たちがまだ小さかった頃、手品を披露したことがあった
力技すぎるとAに笑われたけど
ヒソカの手品に目をキラキラさせている子供たちと同じように、弟達も「イル兄すっげー!!」と喜んでくれたものだ
「・・・A」
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作者名:みこ | 作成日時:2022年7月12日 12時