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『まさかこんなところに穴があったとはね、イル』
「ま、普段から針が刺さってるわけじゃないAに針が刺さってれば違和感くらい覚えるよね」
分からなくもないが、もっと早くに気が付けなかったものか
・・・お互いに
2人は小さくため息を吐くと、服を交換しヒソカの元へと戻った
「で、どうして入れ替わっていたんだい?♡」
彼は「今度ボクにもやらせてくれよ」くらい言いそうな勢いだ
『仕事の関係で、イルが私になる予定が出来たってだけ』
「ふーん♤」
イルミは黙って先ほど私が頼んだウイスキーを口に含む
私はカクテルに口をつけ、ヒソカのナッツに手を伸ばす
「何かたのむ?A」
それを見ていたイルミはAに声をかける
席はヒソカ、イルミ、私の順
イルミが「Aはここね」と椅子を引いてくれたのだ
流石にイルミの前を私の腕が伸びたのは嫌だったか
『ドライフルーツ』
「かしこまりました」
ここのバーテンダーは優秀かもしれない
他の席のドリンクも用意しているはずだが
しっかり私たちの会話を聞いているようだ
あとでチップでも渡しておこう
『針は盲点だったけど、楽しかったのは事実ね』
「オレは仕事以外ではもうやらないけど」
『私は髪の短い頃のイルも好きだな』
「仕方ないな、今度ね」
「ねえキミ達・・・それって、イルミが髪切ればいいんじゃない?♡」
・・・盲点だった
チラッとイルミの顔をみてみれば、「何」と一言で返される
話を聞いていなかったのか
それとも切るという選択肢は端からないのか
『短い髪のイルも、私は好きだけど』
「その頃のイルミはどんなだったんだい?A♡」
相変わらず楽しそうな表情で頬杖を突くヒソカにイルミはジト目を向ける
『・・・このままかな
でも、ミルキとキルアの相手はよくしてたんじゃない?』
ぐるりとこちらに顔だけ向けるイルミ
そう、訓練の時以外は”優しいお兄ちゃん”だった印象が強い
勿論私もそこに駆り出されるのだが
そんなイルミに、弟達も目を輝かせていた記憶がある
「イル兄!」と
今となっては弟達も大きくなり、「兄貴」と一目置くようになってしまったが
ほんの数年前までは、キルアも眠る私の元に「聞いてよねーちゃん!イル兄がさー!」と楽しそうに話をしに来てくれたものだ
そんなことを考えていると、お酒のグラスはもう3つも空いていたようだ
「そろそろ帰ろうかA、オレ仕事だし」
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作者名:みこ | 作成日時:2022年7月12日 12時